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文楽「大塔宮曦鎧」「恋娘昔八丈」

第一八五回文楽公演「大塔宮曦鎧」「恋娘昔八丈」  2013年12月

2013年の文楽納めは珍しい2演目で、エンタメ性が高い。国立劇場小劇場、後ろの方右端で5700円。左側の字幕が遠く、手元で床本を確認しながら鑑賞した。休憩を挟んで4時間。

1演目目は「大塔宮曦鎧(おおとうのみやあさひのよろい)」約120分。太平記に登場する後醍醐天皇の皇子、大塔宮による鎌倉幕府打倒の闘いを描く時代物の三段目。野澤錦糸復曲、山村若振付でなんと121年ぶりの上演だ。スケールの大きい古典の復活事業。歌舞伎でも40年くらい上演していないそうです。灯籠の道具立てが風流で、ダンスシーンが秀逸。
まず六波羅館の段は奥で咲甫大夫、清友さんが聴かせる。後醍醐天皇の寵妃・三位の局(勘弥)が鎌倉サイドである常盤駿河守(玉也)の気を引いて、流刑となった後醍醐の帰還を目指すものの、無骨な忠義者・斉藤太郎左衛門(勘十郎さん、左は幸助さん)が企みを喝破。トンデモ駿河守は切子灯籠に託して、後醍醐の幼い若宮(玉翔)を斬っちゃえ、と命じる。その俗物ぶりを軽蔑しつつも、主従の筋を通そうとする太郎左衛門の苦衷を、勘十郎さんが毅然と。
続く身替り音頭の段の奥は文字久大夫、そして錦糸さんが激しい弾きっぷりで、掛け声も大きく、気合い十分だ。灯籠が下がり、子らの小さな手が舞って、鎮魂と恍惚の雰囲気が幻想的。物語は後醍醐サイドの永井右馬頭(玉女)と妻(和生)が若宮を救うため、我が子鶴千代(玉誉)を差し出す。「満仲(まんじゅう)」の逸話が語られるなか、忠義と正義の板挟みにあった太郎左衛門は、なんと自らの孫・力若丸(勘次郎)を斬ってしまう。身替りの身替り、しかも忠義一辺倒ではない。哀しくも壮絶な幕切れだ。

休憩後はがらりと雰囲気が変わって「恋娘昔八丈」。珍しい江戸の世話物で、初演当時大ヒットしたとか。城木屋の段では千歳大夫さんがはまり役のチャリ場を熱演。老舗材木屋の娘・お駒(清十郎)の恋人・才三郎(文司)は、髪結いに身をやつして盗まれた家宝の茶入れを探している。お駒は父(玉輝)の頼みで、金を貸してくれた喜蔵(玉志)と祝言をあげる羽目になっている。随所に江戸情緒が漂い、お駒に気がある番頭丈八(蓑二郎、左は幸助さん)の見当違いの言動がいちいち可笑しい。
クライマックスの鈴ヶ森の段は呂勢大夫、藤蔵。呂勢さんは朗々としているけど、もう少しゆとりがあってもいいかな。物語は、はずみで夫・喜蔵を殺してしまったお駒が、刑場にひかれてくるハイライトシーン。黄八丈に水晶の数珠、縛られているので手の動きがなく、肩だけで演じるクドキがなんとも色っぽい。あわやというところで才三郎が丈八を引っ張ってきて、茶入れを盗んだ喜蔵、丈八の悪事を暴露し、めでたくお駒も許されちゃう。世話物には珍しいハッピーエンドで、痛快でした。

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