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METライブビューイング「エフゲニー・オネーギン」

METライブビューイング2013-2014第1作「エフゲニー・オネーギン」  2013年11月

METのシーズン開幕作は、私にとって初めてのチャイコフスキー。絶対的スターソプラノのアンナ・ネトレプコが、恩師ワレリー・ゲルギエフの指揮で3シーズン連続となる開幕登板。華やかな存在感に酔いました~ 2011年のリングに始まるワーグナー、ヴェルディシリーズの後、今季のMETはロシアシフトなのかな。新宿ピカデリーのいつもの最後列中央で3500円。けっこうお洒落な中高年カップルらで満席だ。休憩2回を挟み4時間弱。

プーシキンの韻文小説を元にした悲恋物語は、けっこう単純。放蕩者オネーギンが、地主の娘タチヤーナの純な恋を一度は拒絶する。決闘で友人レンスキーを倒してしまう悲劇を経て、再会。美しい成長ぶりに真実の愛を告白するが、公爵夫人となったタチヤーナは思いを残しつつ去っていく。3幕冒頭の有名なポロネーズなど、ベタなほど甘く、ゆったりとドラマティックな旋律にどっぷり浸かる。

豪華歌手陣は聴かせどころ満載だ。なんといってもネトレプコ。1幕の美しく長大な「手紙の場」で大拍手を浴び、3幕では夢見る文学少女から堂々たるサンクトペテルブルク社交界の華に変身。真っ赤なドレスと自信満々ぶりがはまるなあ。インタビューでキャピキャピ少女役は卒業と言ってたけど、まさにそんな感じ。
男性陣ふたりはポーランド出身。タイトロールのお馴染みマリウシュ・クヴィエチェン(バリトン)は、ダメ男役がますます色っぽい。親戚の財産目当てで選んだ農村暮らしに退屈し、ニヒルな態度でタチアーナに説教するわ、友人を手ひどくからかうわ。傷心の旅から戻っても嫌われ者。でもタチアーナとの2度のキスが切ないんだな。小道具のリンゴをかじりながらのインタビューでは今回、傲慢さは抑え気味とコメントしてた。気の毒なレンスキー役はピョートル・ベチャワ。テノールでは珍しく脇に回り、「わが青春の輝ける日々よ」の美声が繊細な理想家らしくていい。妹オリガは「リゴレット」で観た細身のオクサナ・ヴォルコヴァ(メゾ)。

演出は英国のデボラ・ワーナーが病気降板し、ハリーポッターシリーズなどの女優フィオナ・ショウが引き継いだとか。幕間の風景映像、田舎屋敷の背の高いガラス窓や貴族の館の柱列、ラストに舞う雪がシンプルで美しい。衣装などは19世紀末の設定でリアル。冒頭の収穫を喜ぶ農夫たちや、タチアーナの誕生日パーティー、サンクトの舞踏会のダンスが現代風で面白かった。

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