荒木又右衛門
歌舞伎へのいざない 講談「荒木又右衛門」 2013年10月
9月の文楽で「伊賀越道中双六」通しを鑑賞したのをきっかけに、11月歌舞伎公演にちなんだ鼎談と講談の会に行ってみた。けっこう満員です。国立劇場小劇場の前の方中央で、無料。
上村以和於さん、ペリー萩野さんと3人での鼎談の後、休憩を挟んで一龍斎貞水さんの講談へ。人間国宝で講談協会会長だけど、語りは軽妙だ。「講談師、見てきたような」といった脱線で笑わせつつ、メリハリはきちんと。荒木又右衛門の長い長い名乗りなどは、さすが聴かせます。
3大仇討ちの「伊賀越」で、荒木は義弟を助けて大活躍する剣豪だ。その生涯を描いた講談は、1日20分ほど語って1カ月はかかる長大なものだそうです。今回聴いたのは、江戸に向かう道中の剛毅なふるまいから、のちの岳父・渡辺剱負(ゆきえ)と出会うくだり。普段は大酒飲みで人遣いが荒くていい加減、コミカルなほどの荒木が、肝心なところでは柳生流の遣い手らしさを見せつけるところが痛快だ。
文楽、歌舞伎で名場面「沼津」を観てきたけれど、講談を聴いてちょっと得心。江戸の観客は皆、講談などでヒーロー荒木の本筋を熟知しているから、その陰に隠れ、巻き込まれてしまった人々の「沼津」「岡崎」という悲劇に涙したんだなあ。勉強になりました!
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