落語「夫婦に乾杯」「三十石」
よってたかって秋らくご’13 21世紀スペシャル寄席0NEDAY 2013年10月
よみうりホールの左後方で4000円。ほぼ満席だ。残念ながら前座の柳亭市助、桃月庵白酒、柳家三三を逃し、仲入りから滑り込む。ちょっと笑いが多すぎる気がしたのは、遅刻して自分が乗り切れなかったせいかな。
後半は期待の柳家喬太郎で、定番・学校寄席の話題。お馴染み「死神」への身も蓋もない反応とか、これに似た話として、自宅で楽しくしゃべっていたら息子さんに「仕事でやれば?」と言われたとか、爆笑のマクラから「夫婦に乾杯」。カップ酒の新商品のネーミング会議で、妻不信の声が相次ぐなか、ひとり夫婦仲をみせつけちゃった若手社員が皆に非難され、よせばいいのに家に帰って奥さんと喧嘩してみる。居酒屋での会話みたいな、たわいなくて、やや後味の悪い内容だけど、冷め切った夫婦の会話が擬音になっていて「京都」とか、表現で十分笑わせる。
トリは柳家市馬さん。お伊勢参りのマクラをふって、京・寺田屋の浜から大坂へ向かう舟の情景を描いた「三十石」。船宿の客の適当な名乗り、女性客への妄想、そして「声が自慢の船頭さん」と続いて、会場から拍手が起きる。お囃子も入り、漕ぐ仕草をしながらの舟歌がゆったりと響いて、遠い昔の働く庶民の情景が目に浮かんできた。ささくれだった日常を離れ、大らかに朗らかに。これも落語の良さだよなあ。