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ミラノ・スカラ座「リゴレット」

ミラノ・スカラ座「リゴレット」  2013年9月

スカラ座引っ越し公演の2作目で、最終公演。台風接近で時折雨が激しくなるけど、そんな天候をものともせず、NHKホールは政治家や財界人のお歴々も交えて盛況だ。2階後ろ寄り、右のほうの席で5万5000円。2回の休憩を挟んで3時間半、次々に繰り出される甘美な旋律の連なりと、何とも皮肉な人間ドラマとを満喫した。

タイトロールで定評を確立しているベテラン、レオ・ヌッチが、舞台を掌握。もう、人間国宝と呼びたくなるような抜群のオーラです。1942年生まれのバリトンは、とぼとぼ歩いて老いた道化の悲哀や恐れを表現。ひとたび歌えば、艶やかな声をホールいっぱいに響かす。ドラマチックな2幕「悪魔め、鬼め」でたっぷり泣かせ、その後のカーテンコールでは聴衆からの「ビス!」の声にこたえて、幕切れの2重唱「そうだ、復讐だ!」をアンコールしちゃう心意気。いや~、愛嬌があります。
ほかの歌手陣では、マントヴァ公爵のジョルジョ・ベッルージ(テノール)が、2幕「ほおの涙が」3幕「女心の歌」などでなかなかの色男ぶりを見せた。ジルダのマリア・アレハンドレス(メキシコのソプラノ)は1幕「麗しい人の名は」では高音がかなり辛かったものの、1984年生まれらしい初々しさ。徐々に調子をあげて、序盤の考えなしの純情ぶりから、自己犠牲の幕切れまでを歌いきった。アンサンブルも良かったですね~。殺し屋スパラフチーレはアレクサンドル・ツィムバリュク(ウクライナのバス)、妹マッダレーナは足が綺麗で妖艶なケテワン・ケモクリーゼ(グルジアのメゾ)。
ベネズエラ出身の1981年生まれ、気鋭のグスターボ・ドゥダメルが終始、攻めの指揮。残念ながら歌手の声を消し気味のところもあったけど。ヌッチが舞台上からキューを出したりして、盛んに若い才能を盛りたてていたのが微笑ましかった。

プロダクションはジルデール・デフロ演出の1994年制作。あえて安定したバージョンを持ってきたわけで、16世紀の設定で、伝統的かつ豪華なのが楽しい。オペラっぽいなあ。
1幕公爵邸の大広間はバレエも登場し、金色の彫刻が輝く。2幕の公爵邸の一室は巨大ステンドグラスが美しい。取り巻きたちの服装も金糸いっぱいでキラキラ。1幕後半のリゴレットの家、3幕ミンチョ川のほとりの暗いシーンでは、高い位置のバルコニーや窓を効果的に使ってました。
そして終演後のカーテンコール! オケ、スタッフも舞台に上がり「サヨナラ」の横断幕を披露。ヌッチを筆頭に何度も何度も拍手にこたえ、舞台袖の聴衆と握手したり花束を受け取ったり。そのエンターテイナーぶりに唸りました。大満足!
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