秋の正蔵「片棒」「悋気の火の玉」「立ち切れ線香」
秋の正蔵 2013年9月
定例の第二期林家正蔵独演会。いつもの紀尾井ホール小ホールで、またまた最前列。3000円。
前座ははな平さんで東京五輪話から学校寄席で客席全員マスクをしていた話、スイミングクラブで子供が全員プールの中から聞いたという信じられないエピソードから「片棒」。以前、市馬さんで聴いたときは3人兄弟だったけど今日は2人の短縮バージョン。木遣りなど、まあまあかな。
続いて正蔵さんは、最近独演会や親子会で軽んじられたという愚痴から「悋気の火の玉」。根岸のお妾さんを本妻が呪うシーンで笑わせる。2人とも亡くなって火の玉で現れ、旦那が煙草の火をもらおうとすると、まだジェラシーを露わにする。拗ねた感じがポイントなんだろうけど、ちょっと元気がなかったかな。
10分の中入りを挟んでネタおろしの「立ち切れ線香」。芸妓は線香で時間をはかった、一本立ちの語源と解説してちょっと笑わせてから本編へ。若旦那が芸妓・小雪にいれあげ、蔵に100日閉じこめられちゃう。ようやく蔵を出たときは恋煩いで小雪は亡くなっており、仏壇の前で不思議な三味線の音をきく。ずいぶん前に鶴瓶さんで聞いたことがあり、上方の大ネタというけれど、淡々として難しい噺だなあ。前半は若旦那の物言いがなんとも高圧的。番頭が煙草を一服してから諭すところは、悠然としていい。後半は恋が実らなかった若い2人の、切なさが染みる。お囃子方も入ってしんみり。純愛だなあ。
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