立川談春独演会「子別れ」
立川談春独演会2013デリバリー談春「子別れ」 2013年7月
また「デリ春」シリーズに足を運んだ。1500人ほぼいっぱいのメルパルク東京ホールで、人情噺の大ネタに浸る。1F中央あたりの3800円。
トッピング=前座は立川こはる。子供みたいに小柄ながら、「つる」が元気いっぱいだ。
続いて談春さんが登場、こはるへの拍手に軽く嫉妬し、冷房病を訴えてから、あらかじめ発表してある演目「子別れ 上・中・下通し」を談志から引き継いだ(ぱくった)経緯を、志らくや志の輔を引き合いに出しつつ語る。何だか言い訳っぽい気がしたけれど、ネタへの思い入れ、自分こそという強烈な自意識の現れかな。
前半は不要だけど、と言いながら、まずは発端を淡々と。腕のいい大工という熊のキャラクターを、後半で立ち直る理由というだけでなく、そもそも酒に溺れた理由でもある、と位置づける。自らのギャンブル好きを例えにだして、「文七」と同様、いい作用も悪い作用もある庶民のプライドを物語のバックボーンに据えて、説得力がある。
中入り後、いよいよ親子、夫婦の再会へ。亀がひときわ生意気で、子供っぽさは微塵もないけれど、青鉛筆が欲しい、というセリフが泣かせます。念願の青鉛筆で描いた空の絵を、わざとだろう、亀が家に置き忘れ、それを口実にお光が鰻屋へ追っていく展開。目に浮かぶ思い出の空の爽やかさと、最後の最後であれほど生意気だった亀が、身も世もなく泣きじゃくってしまう見事な落差。本当に巧いなあ。面白かったです!
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