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歌舞伎「寿曽我対面」「土蜘」

歌舞伎座新開場柿葺落六月大歌舞伎 第二部  2013年6月

だいぶ慣れてきた新歌舞伎座。6月は2回に分けて観劇です。第二部は2階の3列、ほぼ中央で2万円。休憩を挟んで2時間半強。

演目はいずれも様式美を堪能できるもの。まず楽しみにしていた「寿曽我対面」。赤穂浪士、伊賀越えと並ぶ3大仇討ちを扱った「曽我もの」の黙阿弥による集大成で、初春興行が吉例だった祝祭的な演目だそうです。確かに歌舞伎座開場をうたう大薩摩のあと、浅黄幕が落ちると、そこは金箔ばりばりの工藤の館。同じく金箔衣装の工藤(仁左衛門)をはじめ大名たち、舞鶴(落ち着いた孝太郎)、傾城の虎(芝雀)、化粧坂の少将(七之助)らがずらり並ぶ極彩色の世界で、もうそれだけで大満足だ。途中から関西風に襖を開け、雄大な富士が見えるのも格好良い。
仁左衛門さんは敵役ながら白塗りで人物が大きく、さすがの貫録。七之助がきりっとして、ますますいいなあ。花道から登場する曽我兄弟は兄の十郎(菊之助)が和事、弟の五郎(海老蔵)が典型的な荒事という対照がくっきり。御曹司ふたりのうち、菊之助はおっとりと安定しているが、肝心の海老蔵がいつの間にか、こもったようなセリフ回しが奇妙になっていて残念。気張っても客席から失笑がもれちゃうし。工藤から盃を受けて三宝を壊したり、とてもチャーミングで、しかも助六につながる大事な役なのに。
実事の鬼王新左衛門(愛之助がここはチョイ役で)が取り戻した友切丸を持って駆け付け、工藤が兄弟に巻狩通行証の「切手」を渡して度量を見せつける。それぞれめでたい見得をきめ、幕となりました。

休憩で行列してめでたい焼きを食べ、後半は黙阿弥作で、菊五郎家の芸「新古演劇十種の内 土蜘」。平家物語の謡曲をベースにした松羽目ものだ。舞台後方に長唄囃子連中が並び、後見が活躍する。
前半は頼光(吉右衛門)の館で、重々しい能仕立て。まず平井保昌(三津五郎)の登場、吉右衛門さんが元気がないのは病気の設定だからかな。胡蝶(魁春)の踊りのあと、珍しく暗いままの花道から静かに僧侶・智疇(ちちゅう、菊五郎)が現れる。音若(玉太郎、東蔵の孫で松江の長男)に正体を見破られ、お待ちかね千筋の糸を投げつけたり、二畳台の上で数珠を使った「畜生口の見得」を披露したり。最後は袖をかぶって引っ込む。
ユーモラスな間狂言は「石神」をもとに、番卒がどたばたを繰り広げる。太郎(雀)、次郎(松緑)、藤内(勘九郎)と巫女(曽我に続いて芝雀)が石神に蜘蛛退治の成功を祈ると、実は小姓(藤間大河、松緑の長男)が悪戯で像に化けていた、というもの。
そして中央に古塚をかたどった作り物が据えられ、大詰めは一転して派手な歌舞伎舞踊になる。このへんの変化が楽しい。大薩摩のあと、花道から色とりどりの衣装の保昌と四天王が出てくる。おどろおどろしい隈取りに変わった土蜘の精が巣を破って出て、勇壮な立ち回りに。軍卒の配置で巨大蜘蛛の足を表すといった形が面白い。土蜘は妖怪だけど、中央に屈しなかった土豪を表すときくと、何だか哀しい気もする。歌舞伎らしさ満載でした!

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