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文楽「寿式三番叟」「心中天網島」

第一八三回文楽公演第二部「寿式三番叟」「心中天網島」  2013年5月

先週に続いて5月公演の第2部へ。満員の国立劇場小劇場、後ろより中央の席で6500円。

まずお馴染み「寿式三番叟」を40分。なんといっても注目は翁を語るキング住大夫さんだ。昨年の病気療養から驚異的な努力で復帰して以来、東京には初登場。めでたく楽しい演目だけど、客席は緊張モードが漂い、第一声「だ~い日本」を聴いて大感激。千歳の文字久大夫さん以下大夫5人、三味線はもちろん野澤錦糸以下6人が支える。人形は千歳・勘弥、翁・和生、三番叟は文昇、幸助で、幸助さんは珍しくイヤホンガイドのインタビューにも答えてた。お囃子は望月太明藏社中。

10分の休憩後、いよいよ近松門左衛門生誕360年記念と銘打った「心中天網島」に入る。近松が68歳と晩年に書いた世話物の名作。はじめから主人公2人は心中を決意していて、物語は取り巻く人々の苦悩がメーンだ。主人公の若さを語る「曾根崎」や、愚かさが印象的な「冥途の飛脚」と違って、可哀想というよりクール。運命の非情が浮かび上がって、もうヌーヴェルヴァーグのよう。凄い文学だなあ。
まず北新地河庄の段を1時間半。千歳大夫・清介のあと、嶋大夫・富助が渋く。導入は小春(勘十郎)に横恋慕する太兵衛(勘壽)が「口三味線」で笑わせる。妻子もちの治兵衛(玉女)を案じる兄・孫右衛門(文司)に対し、小春が心中を諦めるというのを聴いて、治兵衛は逆上してしまう。

30分の休憩を挟み、天満紙屋内より大和屋の段を1時間半。始大夫・清志郎のあと、満を持して咲大夫・燕三コンビがたっぷり聴かせます。しっかり者の女房おさん(文雀)が核だ。治兵衛はおさんの母(亀次)が来た時こそ真面目に算盤をはじくフリをするが、普段は炬燵で泣いてばかり。話を聞いたおさんは、小春が自分の手紙を読んで身をひいたのであり、こうなっては生きてはいまいと察して、着物をありったけ質入れして助けようとする。このへんの女同士の義理の通し合いがなんとも切ない。結局、舅(玉輝)がおさんを実家に連れ戻して目論見ははずれ、治兵衛はやはり心中を決意する。咲大夫さん、本を出したりしてよく研究してはります。
セットが入れ替わると夜更けの大和屋。まだ弟を心配し、行方を探している孫右衛門を物陰から見送る治兵衛。戸口から小春がちっちゃい手をのぞかせるところが、可愛くもじれったい。
いったん幕がひかれてセットを入れ替え、大詰め道行名残りの橋づくしを30分弱。蜆橋から天満橋、京橋、そして網島・大長寺へと大坂の橋を渡っていく2人。ラストは迷惑をかける周囲に配慮し、少し離れて最期を迎える。いやー、中身の濃い舞台でした~

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