« 遠い夏のゴッホ | トップページ | ホロヴィッツとの対話 »

立川談春「味噌蔵」「居残り佐平次」

立川談春独演会2013 デリバリー談春「味噌蔵」「居残り佐平次」  2013年2月

東京のあちらこちらを回る「デリハル」シリーズ。客層は40、50代を中心に幅広く、「落語通」過ぎず、かといって初心者過ぎずの、いい雰囲気だ。ちらほら知人の顔も。品川きゅりあん大ホールに、白い屏風と座布団が綺麗。後ろの方右寄りの席で3800円。

18時30分開演とあって、「トッピング」のこはるには間に合わず、談春さん1席目のマクラ途中で滑り込む。冒頭で「デリハルでは地元客を意識して開演を早めにしたけど、遅れてくる人が多い」と話していたそうで、「立っている人、席についてください、まだたいした話はしていないので」と挟みながら、談志から教わった「三ぼう」の小咄、現代に古典をやる難しさ、「江戸の風」に関する考察、ケチを指す江戸言葉「赤螺屋」「六日知らず」の紹介から「味噌蔵」へ。
テンポはあっさりめか。味噌屋の主人が驚異的な倹約家で、留守の間に番頭以下が羽を伸ばし、思う存分ご馳走を並べていたら、思いがけず主人が戻ってしまう。そこへ注文した味噌田楽が届いて…。「帳面をドガチャカしちゃえ」とか「婚礼でも鰯を出した主人は鯛の塩焼きを見ただけで気を失う」なんてくだりが軽妙。

中入りを挟んで品川宿の説明もそこそこに、談志の十八番「居残り佐平次」。1時間強の熱演だ。行きずりの男4人と、金もないのに品川の遊郭でどんちゃん騒ぎをした佐平次。一人布団部屋に居残る。ところが上客に気に入られて幅をきかせちゃうので、ついに主人に帰ってくれと頼まれ、ちゃっかり金と着物をせしめる。談志流の「あんな奴、裏から帰せばいいでしょう」「いや、裏を返されたら怖い」という落ち。
ああ言えばこう言う、佐平次のあっという間に人を煙に巻くしゃべくり、人たらしぶりに色気がある。いいところでバナナの歌を忘れ、ソデに尋ねるハプニングもご愛敬だ。二階のやり手の造形、若い衆の人格崩壊ぶりも見事で、つくづく遊びの話が似合う人だなあ。
大詰めで居残りが商売だと明かす部分をカットしていて、これは小悪党のしたたかな計算という解釈かもしれないけれど、私はむしろ、とことん無目的な、馬鹿馬鹿しい爽快さを感じた。自分で佐平次に呆れたような、「どうも長くなっちゃう」というコメントで終演でした。充実。
20130227

« 遠い夏のゴッホ | トップページ | ホロヴィッツとの対話 »

落語」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 立川談春「味噌蔵」「居残り佐平次」:

« 遠い夏のゴッホ | トップページ | ホロヴィッツとの対話 »