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ペンギンプルペイルパイルズ#17  cover   2013年2月

お気に入り倉持裕の作・演出。2009年の代表作の再演だ。芝居好きが集まった感じのシアタートラム、最前列で4800円。休憩無しの2時間弱。

30年前に行方不明になった姉の手紙を入手したという男・万田(谷川昭一朗)を追いかけて、弟2人(玉置孝匡、吉川純広)が山あいにある、時代に置き去りにされたような邸宅を訪れる。そこに暮らす千都(ちづ、鈴木砂羽)、弟2人(小林高鹿、近藤フク)、家政婦(ぼくもとさきこ)と織りなす一夜の人間模様。
瞬発力のある、からっとした笑いやファンタジー要素をまじえつつ、試練を乗り越えようとする家族の情愛に、やがて胸がじわっと温かくなる。意外に手堅くて、上質の短編小説を読むような印象だ。
冒頭にコミカルなカーチェイスがあり、その後はかつて子供部屋だった、朽ちかけた離れのワンセットで物語が進む。滑り出しは噛み合わない感じの会話にちょっと集中力をそがれたけれど、中盤から意表を突く洋服ダンスの仕掛けにすっかり引き込まれた。そのうち蔦でがんじがらめになった離れそのもの、また冒頭で宙づりになった鹿のエピソードが象徴するものに気付いて、愕然とする。幕切れの銃声とスポットライトは、計算が行き届いていて巧い。
鈴木砂羽が綺麗で上品で、期待通りの存在感。お馴染み玉置孝匡も切なくていい。じっと足の裏を見つめて回想する姿、それから姉の手紙を弟にみせるシーンが泣かせる。ぼくもとさきこは展開の強引な部分を引き受ける役回りで、さすがの間の良さだ。松田聖子とか、時間軸の設定がツボでした。

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