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METライブ・ビューイング「仮面舞踏会」

METライブ・ビューイング2012-2013第5作「仮面舞踏会」 2013年1月

生誕200年のヴェルディ。「ドン・カルロ」「アイーダ」に先立つ中期作をファビオ・ルイージ指揮、デイヴィッド・アルデンの新演出で。2012年12月8日の上演。2011年に同じヴェルディのライブ・ビューイング「イル・トロヴァトーレ」で観た主要キャスト3人が再集結し、スタイリッシュなセットで存分に歌いまくる。休憩2回を挟み4時間弱。定番・新宿ピカデリーの最後列で3500円。

18世紀末、実際に起きたスウェーデン王グスタフ3世の暗殺事件を題材にした、3角関係の悲劇。華やかな前奏曲のあと、1幕・王の執務室では国王グスタブ3世のマルセロ・アルヴァレス(テノール)が「親愛なる諸君」、そして美しい人妻アメーリア(ソンドラ・ラドヴァノフスキー、ソプラノ)への恋心を歌う「恍惚とした喜びの中で」を情熱的に。2010年に来日公演「ラ・ボエーム」で観たときより安定感が増したか。後半は変装して女占い師ウルリカ(メゾ、ステファニー・プライズの低音が迫力)を訪ね、「最初に握手した者」による暗殺を予告される。それはなんと忠実な腹心でアメーリアの夫、アンカーストレム(バリトン、ディミトリ・ホヴォロストフスキーがいつものナルシストぶりを発揮)だった。
短い2幕は、刑場がある不気味な荒野。ラドヴァノフスキーがアリア「この草を摘み取って」、アルヴァレスとの2重唱「ああ、何と心地よいときめきが」で聴かせる。のびやかだけど、少しごつ過ぎるかな。ホヴォ様が謀反人の襲撃から王を逃がすものの、一緒にいたのが妻とわかって激しく傷つく。
3幕の前半は狭苦しいアンカーストレムの書斎。ホヴォ様が妻を責め立て、なんとか息子には会わせるものの、王への復讐のため謀反人たちと共謀を誓う。前段の忠臣ぶりから、暗い情熱への転換がさすがで、ドラマが一気に盛り上がる。
後半は不気味な仮装と賑やかなバレエが交錯する仮面舞踏会。ついにホヴォ様が暗殺を決行するが、王はアメーリアの背信を否定、感動的に部下を許して息絶える。ロマンだなあ。全編の舞台回し役、小姓オスカルのキャスリーン・キム(ソプラノ)はコロラトゥーラを聴かせ、ダンスもこなすけど、小柄過ぎるのと髭が似合わないのが難かな。

録画でゲルブ総裁が対談していた演出のアルデン氏は、ポストモダン派だそうで理論家っぽい。今回は王の肖像として大判の写真を使うなど、20世紀初頭のモダンな設定だ。斜めの壁を多用し、色彩はグレーと黒が基調。冒頭から巨大なイカロスの天井画が悲劇を暗示する。占いシーンで大衆が揃って手相を観るなど、コミカルな動きがある一方、舞踏会のドクロの仮面といった不気味さも。
幕間のお楽しみはキャストらへのインタビューのほか、「マリア・ストゥアルダ」の稽古風景がありました。

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