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METライブビューイング「愛の妙薬」

METライブビューイング2012-13第1作「愛の妙薬」 2012年11月

MET新シーズンの開幕は、ドニゼッティがわずか2週間で書き上げたという喜劇となった。昨年の「アンナ・ボレーナ」とはうって変わってお気楽だけど、主役はもちろん歌姫ネトレプコだ。マウリツィオ・ベニーニ指揮、休憩を挟んで3時間弱。新宿ピカデリーのお馴染み最後列中央あたりでを確保して、3500円。年配の夫婦連れや、通らしいお一人さまで席は結構埋まってた。

ストーリーはスペイン・バスク地方の農村を舞台にした、単純かつご機嫌なもの。勝ち気で才色兼備の農園主アディーナを、純朴一途な農夫ネモリーノが射止めるという、定番中の定番ラブコメディだ。敵役は自信満々の軍曹ベルコーレ。それぞれを、ちょっと細くなっアンナ・ネトレプコ(ソプラノ)、甘さ満点のマシュー・ポレンザーニ(テノール)、そして存分に格好つけるマリウシュ・クヴィエチェン(バリトン)という、「ドン・パスクワーレ」などでお馴染みの黄金トリオが歌う。

冒頭でネモリーノが周囲に読み聞かせる「トリスタンとイゾルデ」の本が伏線になって、インチキ薬売りドゥルカマーラがネモリーノに売りつける惚れ薬(実はただのワイン)がドタバタを引き起こす。薬売りの巨漢アンブロージョ・マエストリ(バス)がはまり役だ。
ネトレプコは意外に技巧が抑えめだが、きらびやかなカデンツァ(即興)はあり、コケティッシュな山高帽と乗馬服姿で、吹っ切れた印象。ポレンザーニが大詰めの叙情的な名曲「人知れぬ涙」をたっぷり聴かせて目立っていたかも。ちょっと気の毒ないじめられ役が似合っていて、今回は線の細さも感じさせなかった。

バートレット・シャーの演出を観るのは「オリー伯爵」以来か。農園、街角、室内とけっこう素朴でリアル、大らかな雰囲気。テンポもいい。お楽しみの幕間での裏方さん紹介では、2幕のパーティーシーンで実物の料理を作る人が登場。そのチキンなんかを、実際にネトレプコがむしゃむしゃ食べちゃうのが笑った。解説は昨シーズンの「リング」で活躍したデボラ・ヴォイト。ゲルブ総裁とのやりとりだったか、喜劇は合わないよね、みたいな突っ込みにあって苦笑いしてたのが面白かったです。今季のライブビューイングはひねった演目が多い感じで、また楽しみだなあ。

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