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アンナ・ボレーナ

ウィーン国立歌劇場「アンナ・ボレーナ」  2012年11月

ウィーン引っ越し公演の千秋楽は、堂々たるドニゼッティの女王もの。65歳となるベルカントの女王、エディタ・グルベローヴァが日本での最後のオペラになると宣言したことで、長年のファンらしき聴衆が集まって開演前から熱気が漂う。エヴェリーノ・ピド指揮。東京文化会館の1F中ほど右寄りのいい席で5万9000円、休憩を挟んで3時間半。

個人的は最初で最後の鑑賞となったグルベローヴァ(ソプラノ)は、1幕目は音程が決まらず、高音も不調ではらはらしたけれど、だんだんに修正。2幕「狂乱の場」に至っては静まりかえったホールに弱音がしっかり染みて、格の違いを見せつけました。現実から逃避するほどの哀しさ、高貴さ、人間の弱さ。現実も重なる「別れ」のシーンであり、イングリッシュホルンや「埴生の宿」テーマの明るさとの対比、後にエリザベス1世となる幼い娘が立ちすくむ演出も効果的で涙を誘う。
敵役エンリーコ8世のルカ・ピサローニ(バス・バリトン)が堂々とした声、容姿も立派で収穫。アンナを敬愛しつつ敵対する複雑な役シーモアのソニア・ガナッシ(メゾ)は手堅く、愚かにもアンナを陥れちゃう楽士スメトンのエリザベス・クールマン(メゾ)が可愛かった。元恋人パーシー卿のシャルバ・ムケリア(テノール)はちょっと弱かったかな。

2011年の新制作というエリック・ジェノヴェーゼの演出は、抽象的な石造りの壁や巨大な柱を回していく落ち着いたもので、壁を挟んで大衆が配置されるところも秀逸。暗い照明のなかに、中世っぽいゴージャスな人物、特に合唱の艶やかな衣装が浮かび上がるのも洒落ていた。
カーテンコールは金色の紙吹雪が舞いスタッフも登場、「32年間ありがとう」という横断幕まで出て、長いスタンディングオベーションという大変な盛り上がり。終演後の出待ちも長い行列でした。

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