鎌塚氏、すくい上げる
M&Oplaysプロデュース「鎌塚氏、すくい上げる」 2012年8月
作・演出倉持裕で、「鎌塚氏、放り投げる」の愛すべき辣腕執事、鎌塚アカシが再登場。本多劇場は和やかな雰囲気だ。休憩なしの2時間強。6800円。
イタリア沿岸をいく豪華客船上で、貴族子女のお見合いが準備されている。伊達男だけど恐がりのお坊っちゃま(田中圭)に仕える鎌塚(三宅弘城)は、この縁談をまとめようと使命感たっぷり。ところが気の強い令嬢(満島ひかり)のほうは政略結婚を嫌がり、同行した女中頭(市川実和子)を身代わりに仕立ててしまう。
貴族に執事というお伽噺の設定で、しかもストーリーは古典的なスクリューボール・コメディー。前作で片桐仁が演じたようなヒネリはなく、今回はほのぼの路線に徹していて、いっそすがすがしい。セットを回転させ、登場人物が客席や甲板を歩き回ってシーンをつないでいく構成は相変わらず精密で、非常によくできている。
三宅、市川は期待通りの安定感。注目の田中がまずまず達者にコメディをこなし、満島は声がつぶれていたけれど、細い体からエネルギーを発散。船長の今野浩喜(キングオブコメディ)と、飄々とした船員の六角精児がサイドストーリーを担ってアクセントをつけていた。
パンフレットで市川がコメントしているように、前作の明るさは強い印象を残した。今回、千秋楽のカーテンコールで2年後に第3弾、というコメントも出たらしい。楽しみです。
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