ふくすけ
シアターコクーン・オンレパートリー+大人計画2012『ふくすけ』 2012年9月
松尾スズキ作・演出。1991年、下北沢ザ・スズナリ初演の舞台の再々演だ。観客は30代くらいが中心か。意外と大人っぽい雰囲気。前の方右端で9500円。休憩を挟んで3時間弱。
異形の少年フクスケ(阿部サダヲ)と、失踪した妻マス(大竹しのぶ)を追って東京・歌舞伎町に迷い込んだ冴えない中年男ヒデイチ(古田新太)の運命。薬害やらいじめやら、社会の歪みをぎっしりと詰め込んだストーリーだ。登場人物全員がダークな負のエネルギーを発散させる。作家の言う「生まれてきたことの不条理」。この戯曲を20代で書き、小劇場で上演したときは、さぞかし濃密な空気であったろうと想像する。
そして2012年。キャストは豪華になった。冒頭の訴訟シーンから大竹しのぶが、いつもながらの圧倒的な存在感を示す。いやあ、キレキレですね。そして存在感という点では阿部サダヲや、終始ぼそぼそ喋りに徹した古田新太も負けてはいない。俳優陣が充実している分、観る側の視点が拡散してしまった感は否めないけれど。多部未華子の愛らしさ、オクイシュージのキレの良さが楽しみだ。
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