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METライブビューイング「椿姫」

METライブビューイング2011-2012第11作「椿姫」 2012年5月

今シーズンの最後を飾るのは言わずとしれたヴェルディの人気作だ。ファビオ・ルイージ指揮、4月14日の上演で、1度の休憩を挟み2時間50分。新宿ピカデリーのゆったりプラチナシート5000円で、息つく暇のない名旋律の連続に身を任せた。

演出はヴィリー・デッカー。2006年ザルツブルクに登場したプロダクションで、ドイツらしく現代的かつ抽象的、スタイリッシュだった。ステージいっぱいにコロシアムのような半円の壁をめぐらし、目立つセットは歌手たちの身長ほどもある時計ぐらい。その2本の針と、終始舞台の隅にたたずむ老人(大詰めでは医師役)がヴィオレッタの残り少ない命を象徴する。ヴィオレッタは赤か白のキャミソールドレス、男性陣と合唱は黒っぽいスーツにネクタイとシンプルです。壁の上方を効果的に使っていて、群衆が手を差し出して不吉な影がさしたり、真っ赤な薔薇が咲き乱れて哀しい純愛を思わせたり。大がかりな転換がないので、幕間の舞台裏が異例に静かなのが面白い。

小さい体でだだっ広い空間を走り回る主役ナタリー・デセイ(ソプラノ)は、ちょっと気の毒だった。特に1幕は高音が外れて、辛そう。風邪で初日をキャンセルしたというから、かなり不調だったのだろう。とはいえ堂々たる気合いで押し切り、3幕に至って衰えゆく風情が真に迫っちゃうのがさすが。アルフレードのマシュー・ポレンザーニ(テノール)は甘く叙情的な声が役に合っていたけど、弱々し過ぎるかな。2010年のロイヤルオペラ来日公演「マノン」のデ・グリューさんですね。
2人に比してパパ、ジョルジョ・ジェルモンのディミトリ・ホヴォロストフスキー(バリトン)は安定感ばっちり。びりびりくるような重量感だ。アルフレードを殴ったりして、パパ怖いよ、とも思ったけど、2幕の「プロヴァンスの海と陸」では拍手が鳴りやまず、カーテンコールでも一番人気だった。

今シーズンは11作中なんと8作を制覇。「アンナ・ボレーナ」「ドン・ジョバンニ」「エルナーニ」などを堪能した。来季は何作観られるかな?

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