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文楽「傾城反魂香」「艶容女舞衣」「壇浦兜軍記」

第一七九回文楽公演第二部「傾城反魂香」「艶容女舞衣」「壇浦兜軍記」  2012年5月

5月の第二部は、人気演目の豪華リレー。国立劇場小劇場の中央やや後ろ寄りで6500円。休憩2回を挟んで4時間半弱。

まず「傾城反魂香」から土佐将監閑居の段。切でキング竹本住大夫、87歳がけっこうな長丁場で胆力を発揮する。野澤錦糸、ツレは豊澤龍爾。歌舞伎で何回か観ている演目だが、それとは違い、大詰めで浮世又平が「あいうえお」などと早口を披露する改作バージョンで、明るく愛らしい。クライマックスの仕掛けは、石面に絵がぱっと抜けて歌舞伎よりスピード感がある。人形は又平に柄の大きい吉田玉女、女房おとくに吉田文雀。

15分の休憩後は「艶容女舞衣」から酒屋の段。冒頭「酒買い」の端場で、丁稚長太に吉田玉勢さん。切はまず豊竹嶋大夫、豊澤富助が半兵衛と半七、宗岸・お園という2組の親子の情をたっぷりと聴かせる。後半は竹本源大夫。声量はやっぱり今ひとつだが、「未来は夫婦」をきめ細かく。鶴澤藤蔵はやっぱり唸りまくってましたね。近所の稽古場から聞こえるという設定の地歌「妹背川」を、もう一人の細棹が床脇のくぐり戸を開け、こっそり弾くのが面白い。地歌をベースにした義太夫節で、すぐ近くにいてうまく調子を合わせるんだそうです。人形はお園に、相変わらず可愛い吉田蓑助。クドキで後ろ振りをみせるけれど、それより小首をかしげる感じなどがいい。宗岸は桐竹文壽。

休憩30分を挟んで、ラストはいよいよ「壇浦兜軍記」から阿古屋琴責の段。平家の残党・景清を追う智将・畠山重忠が恋人の傾城阿古屋を詮議。なぜか楽器を演奏させ、節に乱れがないことから本当に行方を知らないのだと納得して、放免する。竹本津駒大夫ら5人の掛け合いに、師匠鶴澤寛治が率いる三味線陣はツレが野澤喜一朗、そして三曲を大活躍の鶴澤寛太郎くんが堂々と。琴の「奈蕗(ふき)」は三味線と合わせるのが難しそう。三味線「班女(はんじょ)」は安定感があり、胡弓の「相の山」「鶴の巣籠」が切ない。
人形は華やかな立て兵庫姿の阿古屋に、待ってました桐竹勘十郎が初役で。きらびやかな肩衣をつけ、演奏シーンを見事な呼吸で演じきる。この役で特別に左と足も出遣いになるのは、それだけ難しいということだろう。左の吉田一輔がりりしく、足は若い桐竹勘次郎。重忠は吉田和生、悪態をついていたのに、最後は胡弓を真似しちゃう滑稽な岩永左衛門は吉田玉志。面白かったです!

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