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幻蝶

幻蝶  2012年4月

映画「ALWAYS 3丁目の夕日」やドラマ「相棒」「ゴンゾウ」「鈴木先生」の古沢良太脚本を、白井晃が演出。若い女性が多い。シアタークリエのやや後ろ寄りで8800円。休憩を挟んで約2時間半。

幻の「シロギフ」に魅せられた蝶マニアが、とある山中でその姿を追っている。口八丁手八丁の無頼派で、捕獲名人の戸塚(内野聖陽)と、本当は飼育が専門の引きこもり青年・内海(田中圭)。共通の目的のため一緒に廃屋に住みついたものの、年齢も志向も違っていて噛み合わなさが笑わせる。冒頭からお尻を見せたりして大暴れだ。
やがてお堅い山の管理人(七瀬なつみ)、取り立て屋(細見大輔)とのトラブルや、怪しい虫ブローカー(大谷亮介)、逃げ出したストリッパー・ユカ(中別府葵)とのやりとりを通じて、2人の抱える事情が明らかになっていく。

さすがに巧いなあと思わせる、そつのない展開だ。本当はシロギフなんて実在しないんだ、という常識を百も承知で、あえて幻を求める男2人。後半でカネや病魔にじわじわ追い詰められていくさまが、なんとも切ない。苦い幕切れは、まるで「真夜中のカーボーイ」のよう。2人を結びつけるのは、ゲイっぽい友情ではなくて、擬似的な父子の絆だけど。「皆が現実だと思っていることも、ひょっとしたら幻かもしれない」というユカの無垢な台詞が印象的だ。

廃屋を軸に山中、病室のセットを左右に出し入れするだけの、比較的シンプルな構造。演出も手堅い。豪雨や炎、宙を舞う札束や蝶のシーンには、もう少しカタルシスがあってもよかったかな。
俳優陣がみな達者で、リズムや陰影も十分で危なげない。攻めの内野、受けの田中がさすがの存在感。「パーマ屋スミレ」に続いて、上手な舞台でしたね。

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