« METライブビューイング「神々の黄昏」 | トップページ | 一谷嫩軍記 »

平成中村座「傾城反魂香」「曽我綉侠御所染」「元禄花見踊」

六代目中村勘九郎襲名披露 平成中村座三月大歌舞伎 夜の部 2012年3月

新橋演舞場から始まった2カ月連続の襲名披露公演で、隅田公園内の仮設劇場のほうに足を運んだ。1F椅子席の右端で、竹席1万7000円。客層は幅広く、うきうきした雰囲気です。

「傾城反魂香」は豪華キャストで、これまでに観た上演と比べると、前段の苛立ちや悲壮感よりも夫婦の愛情、終盤にかけての明るさが印象的。仁左衛門の又平は滑稽かつ上品で、決めぜりふ「抜けた」の軽さ、終盤に紋付きに着替えるあたりからの、嬉し泣きやちょこちょこ歩きの可愛さがいい。おとくは勘三郎。手水鉢の奇跡を目にして派手にひっくり返るなど、アクションが大きい。元気になられてよかったです。幕切れは夫婦2人で花道を引っ込む。土佐将監は亀蔵、将監の奥方は出ませんでした。いつもの絵が抜ける仕掛けが、ちょっと薄かったのが残念かな。

休憩の間に、席で襲名弁当(2500円)をぱくつく。黒い升を持ち帰る趣向だ。
続いて口上。中央の勘三郎が中村座の縁起などを語り、向かって右へ片岡我當、新之介親子。海老蔵が「私は新勘九郎と比べて情熱は負けないが真面目さが足りない」と笑わせ、仁左衛門は「今回、曽我綉を教えたけれど、器用ではない」とちょっと辛口、左に回って中村扇雀、片岡亀蔵。中村座お馴染みの笹野高史さんがついに紋付で口上に連なり、「大好きな勘九郎さん」を連呼してから七之助、勘九郎。再び勘三郎が「ゆかりの方々、縁もゆかりもない笹野さんも」と感謝して、楽しく締めてました。

休憩の間に、向かって右の通路に仮花道がしつらえられて、初めて観る演目「曽我綉侠御所染(すがもようたてしのごしょぞめ)」。五條坂仲之町の場は桜満開で色鮮やかだ。席のすぐ横の通路から勘九郎の男伊達(侠客)五郎蔵一行、反対側から海老蔵の敵役・土右衛門一行が登場するサービス。両花道で向かい合ってからの音楽的な七五調のわたり台詞、「鞘当」を踏襲した傾城皐月をめぐる啖呵の応酬が、芝居気分を盛り上げる。海老蔵はやっぱり華があるし、低い声が太くていい。大物がちょっと出ることが多い、という留め男は我當。
続く甲屋奥座敷の場も、傾城の衣装などが華やか。皐月が五郎蔵のために金を工面しようと、偽りの愛想尽かしをする「縁切り」シーンだ。胡弓をバックにした扇雀のクドキは、色気があって貫録。対する五郎蔵は子どもっぽく単純で、床几や尺八の小道具で怒りを表現、「晦日に月の出る廓(さと)も闇があるから覚えていろ」の名台詞を決める。また皐月の本心を察する傾城逢州の七之助がたおやかだ。金貸し吾助の笹野高史は、引っ込みを真似してコミカル。
五條坂廓内夜更けの場になると、一転して暗く不穏な空気。五郎蔵が皐月の打ち掛けを借りた逢州を、人違いで殺してしまう。単細胞過ぎでしょう。もっとも殺しの壮絶さより、絵画のような様式美に重点がある感じ。土右衛門と立ち回っているところで、突然並んで坐って次の演目を紹介する「切り口上」。これは始めて観ましたね。勘九郎は二枚目というよりワルの哀しさがあうけれど、もっと爛熟というか、崩れたところが欲しいかも。回り舞台まで使っていてびっくり。

短い休憩のあと締めくくりは「元禄花見踊」。平成生まれの御曹司たちが勢揃いで微笑ましい。女形は福助の息子・児太郎と、扇雀の息子・虎之介。立役のほうは橋之助の息子で国生、宜生兄弟、勘三郎の部屋子の鶴松。宜生の所作が才能を感じさせました。楽しみ~
Namakuraza1 Nakamuraza2 Nakamuraza3 Nakamuraza6

« METライブビューイング「神々の黄昏」 | トップページ | 一谷嫩軍記 »

歌舞伎」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 平成中村座「傾城反魂香」「曽我綉侠御所染」「元禄花見踊」:

« METライブビューイング「神々の黄昏」 | トップページ | 一谷嫩軍記 »