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彦山権現誓助剣

第一七八回文楽公演第一部「彦山権現誓助剣(ひこさんごんげんちかいのすけだち)」  2012年2月

開場45周年の国立劇場小劇場、左後ろ寄りの席で5700円。3部制の第1部は秀吉の朝鮮出兵を背景にした敵討ちもの「彦山権現」で、人気の9段目を挟んだ8段目から11段目の上演です。英雄はコミカルで、周囲の女性も文楽にありがちな自己犠牲とは無縁。ハリウッド映画みたいに痛快で、変化に富んでいて面白かった。

導入部分は「杉坂墓所の段」。御簾内で豊竹希大夫、豊澤龍爾が口を務め、奥は英大夫さんです。母を看取ったばかりの孝行者・六助(玉女)が、老母を背負った微塵弾正(玉輝)にほだされて八百長試合を承知する。その後、六助は偶然出くわした斬り合いに分け入り、幼い弥三松を救う。子どもをあやしながら、悪党を投げ飛ばしちゃう豪傑ぶりです。玉女さんがスケールが大きくユーモラス。杣(そま=きこり)仲間で玉勢さん、玉誉さんも。

30分の休憩を挟んで、後半は2時間ぶっ通しです。まず山場の「毛谷村の段」で六助の自宅前。中は咲甫大夫が朗々と。年末体調を崩していたらしい清志郎さんも元気そうで安心した。約束通り負けてやったのに、微塵弾正は威張って六助の額を扇で打つ。そこまでされても納得している六助さん、間抜けなくらい人が良い。
切はお待ちかね咲大夫。世話物風で、からっとした朗らかさがいいなあ。燕三も軽快。まず老婆お幸(堪弥)が登場し、一目で六助を遣い手と見破って親になろうと言い出す。さすがの暢気者・六助も不審げです。次に虚無僧姿のお園(和生)が干してある弥三松の着物を見とがめ、六助に斬りかかる。女2人がめちゃめちゃ豪傑なのがユニークだ。
ところが六助が名乗ると、お園が女房気取りに一変、弥三松を放りだし、姉さんかぶりで家事を始めるところがなんともおかしい。和生さん、さすが可憐です。なんと2人は六助の剣術の師の妻と娘で、お園は許嫁だったんですねえ。ここからお園のクドキ切々。父が京極内匠に討たれ、仇討ちの旅で妹も倒れたこと、弥三松はその忘れ形見だと明かす。後ろぶりはちょっと短めだったかな。
そこへ杣仲間が、母が殺されたと泣きついてくる。ようやく微塵弾正の策略に気づいて六助は怒り心頭、庭石を踏みつけて地面にめり込ませる。さらに弾正の正体は京極内匠とわかって、仇討ちに向かう。勇壮さ全開で人形が大きく見え、玉女さん本領発揮です。母娘が武運を祈り、背に梅と椿の枝を差すのがなんだか可愛らしい。盛り上がるなあ。

短い幕をはさみ、大詰め「立浪館仇討ちの段」は大夫4人の掛け合いで。六助が打ちかかり、弾正の刀が蛙の声がする光秀の名刀だと露見。お園、弥三松と一緒に敵討ちを果たす大団円となりました。

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