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METライブビューイング「ジークフリート」

METライブビューイング2011ー2012第3作「ニーベルングの指環第2夜 ジークフリート」  2011年11月

レヴァイン降板で新主席指揮者のファビオ・ルイージ指揮。11月5日の公演で、休憩を挟み3幕5時間11分、たっぷり分厚い音のシャワーを浴びる。新宿ピカデリーの、観やすい後方席を選んで5000円。

前シーズンから続く、巨大パネルを使ったロベール・ルパージュの新演出です。しかし本演目ばかりは、話題の中心はタイトロールのギャリー・レイマンがわずか1週間前に病気降板して、カヴァーのジェイ・ハンター・モリス(テノール)が急きょ超難役で登場すること。不安がいっぱいだけど、そこはMETですね。メイキング映像で直前リハーサルのモリスや周囲の戸惑い、高揚を見せ、さらに本人が幕間のインタビューで「テキサス出身で、この間までセントラルパークでローラーブレードを売っていた」などと語って、綱渡りの配役を爽快なアメリカンドリームに仕立てた。

当のシンデレラボーイは1幕大詰めで音を外したし、終盤もさすがに息切れしてたものの、子供っぽい英雄を溌剌と歌いきった感じ。目に力があり、粗暴さは抑えめに、どんどん世界を理解していく前向きなエネルギーが伝わる。対する継父ミーメのゲルハルド・ジーゲル(テノール)は哀れなほどの卑屈さで、達者な性格俳優ぶり。オペラ歌手とは思えません。このへんの細かい工夫がわかるのはライブビューイングならではだ。
愛憎が複雑に交錯する父・さすらい人、義眼を着けたブリン・ターフェル(バスバリトン)や、終盤でジークフリートに目覚めさせられるブリュンヒルデのデボラ・ヴォイト(ソプラノ)は安定感。特にヴォイトは、モリスと組むと貫録あり過ぎ。フレミングがヴォイトにインタビューするとき、火花が散る感じがしたのは気のせいか。前作「ドン・ジョバンニ」の村娘で目立っていたモイツァ・エルドマン(ソプラノ)が舞台裏で歌う森の小鳥でなんと連続出演。

張りぼて風の大蛇や火の山など、仕掛けは意外にローテクな印象。だんだん壮大なパネルに慣れてきたのかな。むしろ今回は映像が驚き。歌に反応する小鳥や、水面に歌手の姿が映って、さらに3幕冒頭では水紋がパネルいっぱいに広がるところとか。幕間に技術開発者R・バロンという人のインタビューもあって、軍事技術の応用もあると説明してました。

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