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アイドル、かくの如し

M&Oplaysプロデュース アイドル、かくの如し  2011年12月

楽しみにしていた岩松了作・演出(さいたまゴールド・シアターの脚本同時上演中。お忙しい)。本多劇場の狭いロビーは出演者の華やかさのせいか花がいっぱいで、客層も幅広い。いつものようにサイン入りの戯曲本を買って開演を待つ。中央あたりの席で6800円。勾配があって観やすいなあ。休憩15分を含め2時間半。

小さい芸能プロダクションのオフィスというワンセット。元・女優の祥子(夏川結衣)とマネージャーだった古賀(宮藤官九郎)の夫婦が経営している。おなじみの階段が今回は中央にあって、2階の小部屋の様子をブラインドの開閉で見せたり隠したりする工夫が巧い。
冒頭から事件の予感。所属するアイドル・くらら(上間美緒ちゃん、声が可愛い)が人気急上昇中なのに、どうやら世話になった音楽プロデューサーの不祥事に巻き込まれそう。クドカンは冴えない事務員の坂口さん(伊勢志摩)と妙なことになってるし、怪しい作詞家(岩松さん)やアイドルの母(きれいな宮下今日子)の身勝手な思惑も交錯。そこへ売れないまま姿を消した元俳優まで現れて…。

複雑精緻な設定ながら、不安や焦燥は控えめ。くららの爆弾会見というクライマックスを挟みつつ、全体に明るさ、温かさが漂い、幕切れは心地よい。お互いいい大人なんだからきれいごとは言えないし、決して爽やかでもない。そして、いい加減くたびれた大人だから分かり合えることがある。まさに平成の夫婦善哉。

初舞台の夏川さんが危なげない。中央にずっと社長の椅子があって、あまり動きは大きくないけれど、予想より色気や迫力が控えめで、潔さが際立つ。きれいだけど前に出すぎない感じ。クドカンが意外に格好良くて、岩松さんはやっぱりこの2人が好きなのかしら。何が集まって枯れ葉になるのかってセリフ、いいなあ。
マネージャー百瀬の津田寛治と、後輩・本間の足立理がかき回し役で達者なのだけど、2人に比べると存在感は今ひとつか。若手の橋本一郎、金子岳憲がいいリズムで笑いをとってましたね。年末に素敵な作品を観ることができました~

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