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イロアセル

イロアセル  2011年11月

新国立劇場2011/2011シーズンで、シリーズテーマは「美×劇」であり、「滅び」。大好きな倉持裕の書き下ろしで、演出は鵜山仁。客席はかなりの演劇好きが集まっている雰囲気。ロビーにセットの模型が飾ってありました。小劇場のなんと1階最前列、左端。A席5250円。

舞台は口にする言葉にそれぞれ独自の色がついていて、目に見え、ファムスタという専用の増幅マシーンを使えば、話されていること全体を俯瞰できるというファンタジックな島。ところが、本土から送られてきた一人の囚人の檻の周囲だけが、何故か色が消える。それで人々が、見られて困る本音を漏らしに次々訪れて…。

ソーシャルメディア時代のコミュニケーション、匿名と実名、拡散と分断、そして普遍的な悪意というもの。なかなか深い、考えさせる戯曲です。小説で読んでも面白そうだ。役者もみな達者。囚人の藤井隆は冒頭の礼儀正しさと、奇妙な権力をもってからの狂気に説得力がある。看守の小嶋尚樹、下請け工場経営者の花王おさむらが手堅く、前科のある女の島田歌穂や、カンチュラ(新体操みたいなもの?)選手の加藤貴子、高尾祥子が可愛い。
セットは障子風の天井、壁と籠とのシンプルな構成ながら、言葉の色を舞台上方のスクリーンに映し出す仕掛け。面白い話だけに、演出にもっとメリハリがあったら良かったかな。場面転換にリズムが乏しく、破滅に向かう終盤の緊迫感も今ひとつ。2時間強、休憩無しがちょっと辛かった。

カーテンコールでは藤井隆と島田歌穂が短くトークするサービス付き。囚人がばらまくビラを、こっそりお持ち帰り。ちゃんと手書きでした。とにかく倉持裕は目が離せないぞ。
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