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平成中村座「猿若江戸の初櫓」「伊賀越道中双六」「弁天娘女男白浪」

平成中村座十一月大歌舞伎 夜の部  2011年11月

江戸の芝居小屋を再現する平成中村座。隅田公園内でのロングランの幕開けに足を運んだ。地下鉄浅草駅から地上に出ると、吾妻橋を挟んでアサヒビール本社とスカイツリーが目の前。そこから東武線をくぐり、隅田川沿いの幟をたどってぶらぶら行くと、10数分で仮設劇場に着く。
お弁当を買い、渡されたビニール袋に靴をおさめて客席に向かう。独特の白線の入った幕を前に、うきうきした気分が満ちる。1階前のほうが平場、2階正面がお馴染みの立派なお大尽席。今回は2階幕内まで席があり、幕間にのぞいてみると舞台転換が丸見えで面白い。パンフレットは櫓の立版古(ペーパークラフト)付き。1階椅子席の前の方、右寄りで1万4700円。

演目はまず「猿若江戸の初櫓」。初世勘三郎が猿若座(中村座)の櫓をあげた由来を描く舞踊劇だ。長唄囃子、お琴が並んで賑やか。左の御簾内には鳴り物も透けて見える。劇場全体が小さく、すべてが手にとるように感じられて楽しい。
冒頭で猿若の勘太郎、出雲の阿国の七之助が花道で、江戸に歌舞伎踊りを広める望みを語る。出会った材木問屋を助け、一座でコミカルに車をひいてやるシーンの木遣りが伸びやかだ。感心した奉行の彌十郎が、領地の京橋に小屋を開くことを許し、喜んだ阿国、猿若がめでたく舞い踊る。勘太郎の朱色の綱紐が鮮やか。勘三郎の舞台復帰、勘太郎の勘九郎襲名決定を祝うようだ。ラストに舞台後方の扉を開放し、隅田川を一望する趣向が気持ちいい。右寄りの席でスカイツリーが見えなかったのがちょっと残念だったけど。

20分の休憩後、「伊賀越道中双六」から「沼津」。住大夫さんで聴いた演目だ。「沼津棒鼻の場」冒頭で、小山三さんが元気に目を白黒させてみせ、拍手。花道に呉服屋十兵衛の仁左衛門さんが登場すると、それだけで上品さが漂う。年老いた雲助平作の勘三郎さんは、まだ本調子ではない印象だけどサービス精神が健在。道行で2人して客席に降り、すぐ目の前を通ってくれた。
「平作住居の場」で平作娘・お米の孝太郎さんがクドキを聴かせ、3人の因縁が明らかになったところで暗闇の「千本松原の場」。父平作の覚悟を目の当たりにして、十兵衛が仇の居所を明かす。勘三郎さん熱演です。文楽に比べるとリアルな分、親子の悲哀は少なめかな。静かなシーンで車の音が聞こえちゃうのもご愛敬。

25分の休憩でお弁当をつつき、最後は黙阿弥の七五調が炸裂する「弁天娘女男白浪」。「浜松屋見世先の場」で弁天小僧の七之助がお馴染みの啖呵。きわめつけ菊五郎さんで観たことがあり、比べてしまうとさすがに線が細いけれど、可憐さはいい味だ。聴かせどころで声が伸びないのが残念。南郷力丸の勘太郎と花道を引っ込むところ、色気が乏しい分、子供じみた無邪気さが楽しい。
「稲瀬川勢揃いの場」では日本駄右衛門の橋之助、忠信利平の彌十郎が堂々。赤星十三郎の新悟はほっそりした長身で、女形よりこっちがいいかも。演目のバランスがよく、活気があって面白かった!

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