« イロアセル | トップページ | 平成中村座「猿若江戸の初櫓」「伊賀越道中双六」「弁天娘女男白浪」 »

METライブビューイング「アンナ・ボレーナ」

METライブビューイング2011-2012第1作 「アンナ・ボレーナ」 2011年11月

2011-2012シーズンの幕開けは、メトの女王ネトレプコがタイトロールをつとめる、ズバリ「女王もの」です。マリア・カラスが復活させた演目というドラマ性も盛り上がる。マルコ・アルミリアート指揮、デイヴィッド・マクヴィカー演出。
冒頭いきなりアンナのインタビューがあり、聞き手はゲルブ総裁という特別扱い。顔がまんまるになっていて思わずのけぞったけれど、舞台では貫録、存在感に結びついちゃうのが立派だ。

お話は冷酷な夫エンリーコ(ヘンリー8世)に不貞の濡れ衣を着せられ、かつての恋人ペルシと共に処刑される女王アンナの悲劇。身も蓋もない救われなさですが、40分ほどの休憩を挟んで2幕4時間弱が決して長く感じられない。全編を引っ張るのは、まずドニゼッティ節の魅力。どこか童謡のような明るさがあって、余計に切ないんだなあ。可哀そうなアンナ自身が、実は前妻を同じように追い出していたり、王を奪う恋敵のジョヴァンナが一番アンナを慕っていたり、という運命が皮肉です。

さらに歌手陣が粒ぞろい! ネトレプコは、王との仲を告白したジョヴァンナに向かって「許す」と言い放つシーンが秀逸。なんという誇り高さだろう。終盤の狂乱の場もベルカントが衰えず、圧巻の歌唱で大拍手です。
対するジョヴァンナのエカテリーナ・グバノヴァ(メゾ)も負けていない。2009年の「アイーダ」、今年の「ドン・カルロ」と、何故かいつも代役で観ている人ですが、満足度が高い。今回は耐える役どころで、ネトレプコとのバランスも良かった。エンリーコを演じたイルダール・アブドラザコフ(バス)は長身で堂々。主要キャスト3人をロシア出身で揃えたあたりは、ゲルブ氏のマーケティング戦略でしょうか。
意外な収穫はペルシ役のスティーヴン・コステロ(テノール)。声に張りと甘さがあって、容姿も悪くない。

セットは暗くてシンプルだけど上品。16世紀半ばを再現したというJ・ティラマーニ(幕間のインタビューに登場)の衣装が重厚だ。侍女たちのチューダー・アーチ(角張ったカチューシャと布)や男性陣の膨らんだ袖、これでもかという真珠、宝石、金糸の刺繍などを観察できるのは、ライブ・ビューイングならでは。インタビューでは次作「ドン・ジョヴァンニ」のクヴィエチェンが元気に話していて、ひと安心。

« イロアセル | トップページ | 平成中村座「猿若江戸の初櫓」「伊賀越道中双六」「弁天娘女男白浪」 »

オペラ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: METライブビューイング「アンナ・ボレーナ」:

« イロアセル | トップページ | 平成中村座「猿若江戸の初櫓」「伊賀越道中双六」「弁天娘女男白浪」 »