文楽「三番叟」「伽羅先代萩」「近頃河原の達引」
第176回文楽公演第1部 2011年9月
国立劇場開場45周年記念の公演に足を運んだ。節電で少し早めの午前10時30分開演。客席は暗め、室温も高めです。中央のなんと前から2列目、舞台全体は見渡せないけれど三味線の音が耳に響き、人形の細かい動きがよく見える。6500円。
まずは大好きな「寿式三番叟」。今回は「天下泰平国土安穏」を願う特別な演目です。翁を語る住大夫師匠の言葉に泣きそうになる。足が辛そうだったけど、大丈夫かな。千歳の文字久大夫さんが朗々。
人形も豪華配役で、千歳は勘十郎さん。紅白の梅をつけてチャーミングに。翁の蓑助さんは、人形がさらにお面を着けているんだけど、表情が見えるのが不思議。やんちゃな三番叟は幸助さん。樅の段あたりで袖が裏返って、ちょっと焦ってましたね。もう一人のきりっとした三番叟は一輔さん。鈴も軽快に。
短い休憩の後、東北ゆかりの「伽羅先代萩」の「御殿の段」。通称「飯炊き」の前半は嶋大夫さんがたっぷりと。雀や犬が出てきて、健気ながらちょっとユーモラス。後半の「政岡忠義」は津駒大夫さんと寛治さんのコンビで。政岡の紋壽さんはちょっと渋すぎかも。珍しく蓑助さんが敵役の八汐で安定感。
休憩に席でお寿司等をつまみ、ラストは「近頃河原の達引」から「堀川猿回しの段」。思えば文楽デビューで観た演目です。
前半は張り切り千歳大夫さん。導入部分で目の不自由な母・勘壽さんとおつるの玉誉さんが、地歌「鳥辺山」を稽古する。三味線をひく指の動きがよく見えて面白い。妹おしゅんを案じる与次郎に勘十郎さん。可愛い猿が登場し、親子の情愛が描かれると共に、与次郎の不器用さ、実直さが伝わります。
後半は源大夫さんですが、やっぱり声はあまり通らないかな。藤蔵さんはお約束の糸繰りで忙しい。物語は母と兄がおしゅんに恋人を諦めさそうと退き状を書かせたはずが、その伝兵衛が現れてみたら、死も覚悟した書き置きだったとわかる。結局、二人を逃がす決意をし、「曾根崎心中」の猿回しを演じて送り出します。趣向満載の、なかなか凝った演目でした~
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