太陽に灼かれて
太陽に灼かれて 2011年7月
天王洲銀河劇場、1階前の方の右端で9000円。観客は幅広いが、若い女性が目立つ。成宮ファンでしょうか。螺旋階段をあがっていくロビーに花がたくさんで、華やかだ。ロビーには俳優さんの姿も。
本作は1994年にニキータ・ミハルコフ脚本・監督でカンヌグランプリなどを受賞した、仏ロ合作映画が原作。2009年にロンドンで初演されたピーター・フラナリー脚色の舞台版を、栗山民也演出で。休憩を挟んで約2時間半。
時はスターリンの大粛正時代。コトフ(加賀丈史)が美しい妻マルーシャ(水野美紀)、娘(美山加恋、子役の印象が強いけど成長したね~)と田舎で穏やかに暮らしている。彼は実在の人物をモデルにしたらしい、革命の英雄。ピアノのある屋敷を、回り舞台で見せる。そこへマルーシャのかつての恋人で、行方をくらましていたミーチャ(成宮寛貴、4年ぶりの舞台だそうです)が突然帰ってくる。
前半は物憂い水遊びのシーンなど、ちょっとかったるい気がしたけれど、休憩を挟んで後半、ミーチャの失踪の事情や今まで何をしていたのか、そして帰ってきた目的が明らかになるに連れ、緊張感が増す。成宮君の影のある雰囲気、繊細さが、役によく合っていてなかなか。ピアノやタップのシーンも危なげない。そして加賀さんが出てくると、さすがに舞台が引き締まる。水野美紀は予想以上にすらりとして、たおやか。色気はいまひとつの気がしたけれど、清潔感がいい。
歌が重要なシーンを担っていて、そのあたりは加賀丈史、今陽子がしっかり聞かせます。もう取り戻せない、芸術に囲まれた日々の思い出。テーマ曲の「疲れた太陽」も格好良いです。
時折、舞台上方を横切る赤い光の線と不快な効果音が、重くのしかかる時代の恐怖を象徴する。暗い幕切れと巨大な支配者の肖像が、理想と現実、個人と国家、人は本当に道を選ぶことができるのか、といった重い問いを突きつけていた。
カーテンコールはお茶目な雰囲気だったけど、なかなか深い舞台でした。
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