天使は瞳を閉じて
虚構の劇団第7回公演「天使は瞳を閉じて」 2011年8月
作・演出鴻上尚史。池袋のシアターグリーン、中央やや前寄りのいい席で4500円。鴻上さんの手書きコピーの「ごあいさつ」を読みながら開演を待つ。観客も若くて元気がいい。休憩無しの2時間だけど、それほど長く感じなかった。
1988年初演の第三舞台の人気作を、若手俳優陣で。核戦争後、という設定の前段に、今回の原発事故をからめ、3Dテレビも登場して今日性をもたせていた。
背景にあるのは科学技術や高度なメディア社会(電通太郎が登場)の行き詰まりで、シニカル。さらに愚かな破滅に向かっていく展開なのだけれど、一貫して非常に明るい印象を受けるのが不思議。
何者でもないけれど、何者にでもなる可能性がある。そういう若者ならではの焦燥と可能性が全編をいろどっていて、これが作品の魅力なのかなぁ、と思う。大学サークルのような雰囲気で、ラストの身近なところに幸せをみつける感じも、何だか甘酸っぱいし。
俳優陣はみな溌剌。ギャグやダンスにキレがあります。ちょっとにこやかすぎる気もしたけれど。傍観者である天使役の小沢道成が、切なさがあって楽しみだなあ。壊れていくプロデューサー、サブロウ役の三上陽永に雰囲気がある。マスターはオリジナルキャストで盟友・大高洋夫さんでした。