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METライブビューイング「オリー伯爵」

METライブビューイング2010-2011第9作「オリー伯爵」 2011年5月

4月9日のMET初演の映像を、新宿ピカデリーで観た。年配のオペラファンらしき人が多くかなりの盛況。マウリツィオ・ベニーニ指揮。

ロッシーニが「ランスへの旅」の旋律を仕立て直したという本作は、ちょっと下世話な大人の喜劇。見せ場の大アリアがない割に、コロラトゥーラの技巧の連続だし、大詰めには主役3人が組んずほぐれつというフランス笑劇っぽい展開なので、下手な歌手ではとても見ていられないと思うんだけど、さすがの豪華キャスティングで安心して笑えました。

舞台は十字軍で男不在の城下町。不良のオリー伯爵は行者に化けて若い美女をせっせと誘惑、美形の女城主アデルもものにしようと企て、今度は罰当たりにも尼僧のフリをして城にもぐりこむ。ありえないだろう~ アデルは優等生を装ってるけど、実はオリーの若い小姓イゾリエにときめいており、2人してオリーを撃退する。
バートレット・シャーの演出は、レトロな劇中劇の設定。冒頭いつものスタッフがマエストロを呼び込む緊張のシーンはなく、案内役フレミングさんの背後を、怪しげなおじさんが通り過ぎ、そのまま舞台に上がって幕を開ける、という洒落た演出でした。その後も蝋燭の照明やら、手作業の効果音、粗末な大道具やらを舞台上で見せ、お話の馬鹿馬鹿しさを包み込む。ロッシーニの旋律は繰り返しが多いけれど、きめ細かいコミカルな動きが満載で飽きさせない。

歌手陣はそんな緻密な演技を見事にこなしてましたね。タイトロールは、楽しみにしていたファン・ディエゴ・フローレス。とにかく声が若々しい! 女装したり、城のワインを勝手に飲んじゃったり、散々悪戯した挙げ句、追いつめられたら飛びきりのハイトーンで天を仰いじゃう。この脳天気さが、堂々とはまるんだなあ。
アデル役のディアナ・ダムラウも上品な声でいいバランス。意外に手が小さくて、お茶目だし。そしてイゾリエ役でメゾのジョイス・ディドナートがりりしく、カーテンコールでもいい反応でした。三角関係の一角がズボン役だと喜劇性が強調されて、現代の倫理観からはみ出しちゃう部分が気にならない感じ。劇中劇の設定といい、蜷川演出でみた「じゃじゃ馬馴らし」をちょっと思い出した。

ほかにオリーの相棒ランボー役のステファン・デグー(バリトン)、養育係のミケーレ・ペルトゥージ(バス)、アデルに付き添うふくよかなスサネ・レーズマーク(メゾ)も安定感があり、1幕フィナーレの7重唱なども楽しめました。

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