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談春らくごINにほんばし「百川」「紺屋高尾」

立川談春独演会「談春らくごINにほんばし」 2011年5月

コレド室町にある日本橋三井ホール。比較的新しいビルだし、落ち着いた空間です。フジテレビジョン主催、三井不動産特別協力。客層は幅広く、いつものように開演前から期待がみなぎる。演目にちなんで、ロビーではペリーに食事を供したという料亭「百川楼」の絵図(にんべん所蔵)や、御輿まつり「八雲神社天王祭」の紹介、老舗東都のれん会「伊場仙」のうちわ、笠仙の手ぬぐいを展示。三味線演奏まであって、江戸情緒が盛り上がる。
会場は平坦な床に、後方には階段を組み立てて椅子を並べた形式。前の方、少し右寄りのいい席で5000円。高座の背後には日本橋小舟町町会所蔵の四神旗・四神剣を並べ、なかなかの迫力だ。震災支援の寄付をして、有り難い四神旗の写真を頂く。2011053 201105_2 201105

前座はなく、いきなり談春さんが薄紫の着物で登場。5000円もとるのだから演出を考えた、という導入から四神旗・四神剣の説明、これを借りるために仲のいいさだまさしさんらに相談して、1週間魚や肉を絶ち「がんもどき生活」をしていた、「百川」は実在した料亭のPRだったかもしれない、といったマクラから、四神剣がキーになっている「百川」。
1年前にやはり談春さんで聴いた演目。奉公初日の田舎訛りの百蔵さんと、客で来ていた河岸の若い衆が、互いの言葉を聞き間違えて、馬鹿馬鹿しい騒動を巻き起こす。さすがに歯切れが良くて、気持ちよく笑えた。特に百蔵さんが、くわいのキントンを無理矢理飲み込み、座敷から戻っても目を白黒させているあたり、キュートだなあ。

仲入りを挟み、「最近何度もやってしまっていて」と言い訳しながら、楽しみにしていた「紺屋高尾」。紺屋の職人・久蔵が花魁道中を見物して全盛の高尾に一目惚れ。会いたい一心で、親方に言われるまま3年給金を貯め、醤油屋の若旦那というふれ込みで思いを遂げるが、正直に素性を打ち明けたところ、高尾がほだされて、という純愛物語。
いやあ、巧いです。久蔵の告白シーンで、藍に染まった指をみせるあたり、号泣! 言葉少なく、ぽろりと涙をこぼす高尾にも色気がある。通常の、座敷に通されていきなり告白(DVDで見ると談志さんもこの展開)、ではなく、一夜明けて、という設定にしてましたね。吉原のしきたりはわかりませんが、この方が高尾の反応を納得しやすい感じ。
久蔵を応援する親方はもちろん、妙なアドバイスをする女将さんもチャーミングです。女将さんに「これだから男ってのは子供だよ」などと、「古典らしくない」セリフを言わせたりして。
実は聴いたことがあるストーリーだなあと思っていたら、正蔵さんおはこの「幾代餅」が、ほぼ同じ筋の上方バージョンなんですね。迂闊でした。あちらは花魁道中でさえなく、錦絵だけで一目惚れしちゃうんだから、純情度が高い。それから久蔵を手引きする藪医者が、より怪しい感じだったかな。人気の演目、シンプルだけど現代に通じやすいストーリーかもしれません。かつて流行した「電車男」みたいですよね。

前半で思いこみの激しさやそそっかしさ、後半で「いい話」を心から応援する気っぷの良さ。日本橋にちなみ、江戸っ子らしさを堪能する2時間半でした。緞帳がないので談春さん、〆に戸惑っているようでしたが、全員で四神旗・四神剣に二礼二拍手一例して終演となりました。あ~、満足。

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