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女殺油地獄

二月花形歌舞伎第二部「女殺油地獄」 2011年2月

ルテアトル銀座の一階やや右寄り、かなり前の方で、見上げるような感じでした。1等席1万3500円。亀治郎、染五郎ファンが集っている感じ。

市川染五郎が仁左右衛門直伝という10年ぶりの与兵衛。色気や凄みは今ひとつかも知れないけれど、現代的な感じで意欲が伝わります。お吉の市川亀治郎はかなりのしっかり者。母おさわの片岡秀太郎さんがさすがの存在感で、後見人みたい。

序幕はほがらかに「野崎参り屋形船の場」。「徳庵堤茶店の場」の泥だらけの喧嘩や、最後に駄馬がでてくるところもコミカルで、与兵衛の無鉄砲さ、小心者ぶりがわかります。
舞台が回って二幕目「河内屋内の場」では妹おかちの澤村宗之助が可愛く、兄・太兵衛の藤十郎一門、中村亀鶴もきっぱり。席が近いせいか、背後の舞台転換の音がちょっと気になったかな。

15分の休憩を挟んで三幕目「豊嶋屋油店の場」。父・徳兵衛(坂東彦三郎さん、ちょっと苦しい)とおさわの貫禄の泣かせ所があって、いよいよ凄惨な殺し場へ。効果音のような三味線にのせ2人同時に滑ったり、見得を切ったり。赤ん坊の泣き声が苛立ちを募らせ、亀治郎さん最後はめいっぱいのエビぞり。様式美たっぷりですね。客席左前方に作った花道を与兵衛がひっこむところ、恐怖とふてぶてしさがない交ぜで、なかなか。
今回は斎藤雅文補綴で珍しい「北の新地の場」が続きます。染五郎が一転、客席後方から明るく登場し、警備員をいじったり「ととのいました」を披露したり(たまたま目の前でした)、和事風のサービス。落差、無反省さが際立ちます。
大詰め「豊嶋屋逮夜の場」で、天井から証拠の書き付けが落ちてきたところへ、本人がのうのうとお参りに訪れる。役人が与兵衛のあわせに酒を掛けると血糊が現れ、ついに観念。花道でうっすら笑いを見せて幕となる。後日談があることで不条理が強調されましたね。

この近松の名作は以前に文楽で、勘十郎さんの与兵衛を観たほか、倉持裕の現代版「ネジと紙幣」も良かった。今回は与兵衛にフォーカスしていて、人間関係の妙はちょっと物足りなかったけれど、歌舞伎らしさを楽しみました~Photo_2

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