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ろくでなし啄木

ろくでなし啄木  2011年1月

2011年の観劇始め。作・演出三谷幸喜。東京芸術劇場中ホールの1階中央後ろの方で1万円。「50歳記念大感謝祭」と銘打った新作イヤーの第一弾ということで、若い人が多く、客席に期待感がある。
開演前の注意事項、いつも三谷さんは自身の録音で楽しませてくれる。今回は芸術監督・野田秀樹さんとの掛け合い。贅沢です。

導入は、無名時代の石川啄木の恋人だった女給トミと、友人のテツが再会し、15年前に3人で過ごした、ひなびた温泉宿での一夜を思い出す。1幕でトミが啄木の策略とその後の失踪を語り、休憩後にテツが同じ経緯をなぞる。すると、トミの説明とはかなり食い違っている。
結局、若き啄木は二人になぜ、そんな仕打ちをしたのか、何を思って姿を消したのか。笑いを散りばめつつ、謎解きが進む。

若手3人だけのシンプルな会話劇だけど、かつての大河ドラマの共演者たちにアテ書きした感じで、巧くはまっている。主役の啄木は、自分の才能に対するプライドと、貧しさ、挫折感の狭間で人物像が二転三転。藤原竜也が期待通り、オーラたっぷりです。口の巧さは、いかにも三谷節。
テツの中村勘太郎くんが、格好良くて存在感ありましたね。人が良さそうでいて、実はけっこう悪党。脱いだり飛んだり、リズム感がよく、セリフ回しも危なげない。啖呵を切ると舌っ足らずな感じがお父さんそっくりなのも、微笑ましい。初舞台というトミの吹石一恵も、不安はなかった。あまり色っぽくないのが、むしろストーリーに合っていたかも。

温泉宿の二間を、障子二組の開閉でスピーディーに入れ替え、人間の表と裏を二重写しにした美術が洒落ている。音楽は藤原道山のジャズっぽい尺八。ほろ苦いし、誰もが身勝手なんだけど、結局は人間讃歌っぽくなっていくところが三谷さんらしい。配役も含め、安心して楽しめる舞台でした。

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