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四天王御江戸鏑

初春歌舞伎公演 通し狂言・四天王御江戸鏑(おえどのかぶらや) 2011年1月

福森久助作、江戸・中村座の顔見世狂言を、ゆかりの菊五郎さん監修、国立劇場文芸課補綴で上演。196年ぶりの復活だそうです。国立劇場大劇場1階中央で1万2000円。

将門の遺子・良門(菊五郎)が妖怪土蜘蛛(菊之助)の力を借りて、源氏への復讐と謀反を企てるというアンチヒーローもの。菊五郎さんはやっつける側の源頼光家臣で四天王のひとり、渡辺源次綱も演じます。仕掛け満載で、お正月らしいサービス精神を楽しむ。

いきなり序幕「相馬御所の場」が竜宮城仕立てで、祭のような龍が登場し思いっきり派手。良門が金の扇子を広げ、沈む太陽を呼び戻すシーンが迫力です。二幕目「一条戻橋の場」は盗賊・袴垂保輔の松緑さんが堂々として、いい。ゆったりと型を見せる「だんまり」、菊五郎の「ぶっかえり」、そして土蜘蛛の人形が予想以上の大きさでびっくり。最後に幕外で、尾上家ゆかりの土蜘蛛の精に扮した菊之助が花道から宙乗りし、客席に糸を投げて拍手。

30分の休憩後、三幕目「羅生門河岸中根屋格子先の場」は一転して吉原を舞台にした世話物。いなせな鳶頭・綱五郎の菊五郎さんが貫禄です。続く「二階座敷の場」では菊之助の女郎・花咲が登場。一段と艶やかだし、声もよくて映えるなあ。
どんちゃん騒ぎの場面ではAKB48、戦場カメラマンまで登場させ、下世話なおふざけに徹します。「お土砂」をまいて、幕引きの黒子までぐにゃぐにゃになる。以前に「松竹梅湯島掛額」でも観たことがある、お約束のチャリ場ですね。
その後、「花咲部屋の場」で綱五郎と花咲・実は土蜘蛛の精がじゃらつきながら、大人っぽく腹のさぐり合いをのぞかせる。

休憩を挟み、四幕目「二条大宮源頼光館の場」で再び時代物に。頼光に必殺の武器・鏑矢をもたらす弁の内侍の梅枝が、とても品がある。綱五郎がたどたどしく武士のふりをして笑わせるものの、実は本物の渡辺源次綱でした、と明かし、鬼神・茨木童子(怪しく時蔵)を成敗する。
「寝所の場」で盗賊保輔の自己犠牲の場面となるけれど、あんまり深刻にならず、兄・保昌(松緑の二役)の策略と神器の力で、頼光(こっちは端正に時蔵)が土蜘蛛の呪いから回復するスピーディーな展開。

短い休憩の後、いよいよ大詰「北野天満宮の場」。舞台一杯に揺れる巨大な幕で炎を表し、大蜘蛛が断末魔に客席に向かって糸を放って、思わずのけぞる。このへんは現代的な演出ですねえ。
ところが幕切れには、敵味方がなぜか一同に会して、新年ご祝儀の手ぬぐいを客席に撒くという和やかさ。あー、この落差、あっけらかんとした都合の良さがたまりません。とにかく盛りだくさんで、観客皆さん満足げでした~

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