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志の輔らくご「だくだく」「ガラガラ」「大河への道」

志の輔らくご in PARCO  2011年1月

恒例の1カ月公演。笑い初めで、連休のお昼に足を運びました。中央後ろの方の席で6000円。当然の人気で客層は幅広く、開演前から会場には期待感が横溢。後ろから「落語は初めて」なんて会話も聞こえたり、マニア過ぎないところがこの人らしい。高田文夫さんらしき姿も。

屏風もないシンプルなセットで登場。まずアナログ停波への疑問とか、アナログとデジタルの違いについての妙な解説をマクラに、古典で「だくだく」。貧乏長屋に身一つで越してきた八五郎が、隣に住む隠居らしき先生に頼んで壁に家財道具の絵を描いてもらう。知らずに盗みに入った泥棒が腹立ち紛れに、盗んだ「つもり」とふざけていると、八も悪のりして…という滑稽話。上手に笑わせてもらう。マクラの3Dの話題が、終盤で印象的に繰り返される「…つもり」につながっていたと、後で気づいて納得。

いったん舞台後方のスクリーンに、短い映像が流れる。文字に筆を加えていくと干支の兎などの絵になり、逆回しで絵が文字になる洒落たもの。

そして休みなく2席目です。チャンネルを「回す」とか車の「助手席」とか、技術の進歩で意味を失ったのに、使い続けている言葉の蘊蓄を語るマクラから、新作「ガラガラ」へ。商店街の若手が福引で1等に世界一周旅行を張り込んだら、手違いで1等の当たりが7本も入ってしまった。1等を取り出そうにも、内緒で2、3、4等の当たり本数を減らしちゃったから、人前でガラガラを開けるに開けられず…という、お馴染み日常のトラブル勃発もの。あたふたする市井の人々の姿は、以前みた「歓喜の歌」に通じていて苦笑を誘う。安定感抜群です。
バニー姿の女性と、宝くじ抽選会の大きなルーレット2台のセットが登場して幕。

仲入り後、さっきの抽選にあたったお客さんに記念品を、というアナウンスが流れ、バニーちゃんが席まで届けにくる楽しいサービス。

そして釈台を置き、紋付き袴で新作「大河への道」。長崎に行ったら昨年の大河ドラマの影響で龍馬ブームが起きており、ちょっとやりすぎじゃないの、というフリから念願のシーボルト記念館に行った話、伊能忠敬の地図を持ちだそうとした「シーボルト事件」に関する間宮林蔵陰謀説、ちなみに千葉の伊能忠敬記念館で見た伊能の地図は凄かった…と、前半は歴史談義が続く。
「へえ」と感心しつつ、全然落語っぽくないので、どうなることかと思っていたら後半、千葉県庁が伊能を主人公にして、大河ドラマ制作を仕掛けようとする噺に突入。真面目でおかしい県庁職員二人と、脚本家とのやりとりで笑わせながら、伊能の死をめぐる感動のドラマにつながっていく。
ほとんど「天地明察」といった時代小説を読んでいる気分。あるいは「中村仲蔵」なんかを思わせる、実録人物談の雰囲気でしょうか。
気がつけば1時間半ちかく。ラストは、伊能が歩いた美しい日本の海岸線の空撮、そして傑作地図の映像を流し、じんとさせました。

いったん下げた幕をあげ、「どうしても長くなっちゃうんだよね」と言い訳しつつ、長唄衆のリードで手締め。今回は技術の進歩と、それを凌駕する人の情熱の力、というのがテーマだったような。いつものように、巧くて知的で、説得力ある会でした。Photo

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