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文楽素浄瑠璃の会「誠忠義士銘々伝」「義士銘々伝」

国立劇場第153回邦楽公演 文楽素浄瑠璃の会  2010年10月

国立劇場小劇場。少し前寄り左側で4800円。

幕があがると、壇上左に大夫、右に三味線でいきなり始まるスタイル。まず豊竹咲大夫、鶴澤燕三で「誠忠義士銘々伝」の「早野勘平陰腹の段」。
先日、住大夫さんの素浄瑠璃で聴いたばかりの「仮名手本」バージョンのいわばパロディで、大阪空襲で焼失した床本を豊竹山城少掾が復活させ、八世綱大夫、子の咲大夫さんに伝えられたそうです。咲大夫さんが語るのは45年ぶりとか。
仮名手本版と違って、こちらはいきなり勘平が切腹してしまい、介錯される寸前で真実が明かされるという、より悲劇的な展開。咲大夫さんは朗々と声が響いて、アリアみたいな感じ。

20分の休憩を挟み、竹本住大夫、野澤錦糸で「義士銘々伝」の、討ち入り当日のエピソードを描いた「赤垣源蔵出立の段」。こちらも45年ぶりだとか。
源蔵は明治期の講談や浪曲「徳利の別れ」のほうで知られる、大酒飲みキャラで、作者不詳のこの浄瑠璃版でも、「しの字の道をぐの字で歩む」千鳥足で登場。前半はずいぶんコミカルです。
降りしきる雪が目に浮かぶ三味線が印象的。住大夫さんは声は渋いんだけど、やっぱり演技力が凄い。「酒故に身も破れ笠」と力を入れて情けなさを強調し、「すっこんでけつかろ」と凄み、さらに兄嫁にもらった羽織は「腹の中へ直しておきました」と言い訳して、笑わせるくだりまでは軽妙。
ところが病身の母と会って、「今生のお暇乞い」と口を滑らせるあたりから、雰囲気ががらりと変わって盛り上がります。いよいよ討ち入りと察した母が、決意を鈍らせまいと、なんといきなり自害しちゃう。兄夫婦ともども泣いているところで、ラストはもぐり込んでいた吉良の間者を討ち取るスピード感ある展開。きめ細かな語りでそれぞれの人物、情景が目に浮かびます。

15分の休憩後、住大夫さん、山川静夫さんの対談。「今日はお客さんが笑ってくれて、伝わっているなとわかった」という話。先日読んだ立川談四楼さんの本の、「落語は演技過剰になってはいけない、そのためには客に設定が伝わっているかどうか、キャッチボールが必要」という指摘に一脈通じる感じがして面白かった。その後、「落語のように語りたい」と話していたのが、なんだか印象的でした。

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