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「シダの群れ」

シアターコクーン・オンレパートリー2010「シダの群れ」 2010年9月

作・演出岩松了。bunkamuraシアターコクーンの1階中央。客層は幅広く、若い人が多い。

大好きな岩松さんの書き下ろし作品で、今回はヤクザ一家、というかイタリア風に「ファミリー」の物語。志波崎は組長が病に伏し、もう長くないと言われている微妙な状況で、跡目争いの火種となる愛人の息子・タカヒロ(江口洋介)が出所してくる。増陸組との抗争を背景に、正妻の息子・ツヨシ(小出恵介)、組長の愛人・タカヒロの母で姐さんと呼ばれる真知(伊藤蘭)、組長の片腕で元香港マフィアの水野(風間杜夫)らが危うい均衡を繰り広げる。15分の休憩を挟んで2時間40分。

舞台装置は洋館の2階にあるらしい、天井の高い組事務所だけ。そこに人物が出たり入ったりし、いろいろな組み合わせで会話をつないでいく進行は、いつも通りだ。ヤクザものとあって、1幕の初めのほうから派手なドンパチがあったり、2幕冒頭でお楽しみダンスシーンがあったり。それから、組を不動産屋と間違えて何度も電話してくる学生さんの、不条理な展開とか、2幕中盤で皆でむしゃむしゃお寿司を食べるシーンとか、けっこう飛び道具の演出がある。雪と喪服といった色も印象的。

もっともそこは岩松さん。やはり主役は深い会話だ。組織を守ろうとしていたり、愛情を求めたり、それぞれの思惑が微妙にすれ違っていって、ついには破滅的なシーンになだれ込んでいく。よく出てくる、相手の言葉を「えっ」と聞き返すやりとりが心にひっかかる。

俳優陣は高水準で、はまり役揃い。特にタカヒロを慕うチンピラ・森本役の阿部サダヲの存在感が圧倒的だ。岩松作品初ということだけど、リズム感があり、全身で切なさを醸し出す。最後に風間杜夫に促されて、ひとり拍手を浴びてました。舞台全体からすると、目立ち過ぎともいえるけど。
その点、オールバックにスーツの江口洋介は、抑えたトーンで意外にいい感じだ。姿もいいから、悲しいヤクザがよく似合う。コーヒー好きの水野役・風間杜夫、ドスの効いた低い声もありの伊藤蘭はさすがの安定感で、おかしみと色気で舞台を締めていた。このメンバーに入ると、重要な役どころで、タカヒロと張り合う小出恵介さんは、ちょっと大変だったかも。ほかに若い者で近藤公園、尾上寛之、敵対する組の人質ペ・ジョンミン、ツヨシの憎たらしい本妻に江口のりこ、可愛いようで屈折のある愛人に黒川芽以ら。

隣りに桐谷健太さんが来てました~。ルーキーズつながりかな。

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