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「表に出ろいっ!」

NODA・MAP番外公演「表に出ろいっ!」 2010年9月

作・演出野田秀樹。とても小ぢんまりした東京芸術劇場小ホール1の左中段の席で7500円。

中村勘三郎の夫、野田秀樹の妻、オーディションによる黒木華の娘の家族3人が暮らす居間。愛犬が今にも仔を産みそうで留守番が必要なのに、それぞれどうしても今夜、出かけたい理由があって、激しい駆け引きを繰り広げる。

ポップな装置と衣装の非日常な空間。手が届くような距離で、ともに55歳の大物二人が汗をかく、何とも贅沢な舞台だ。75分ぶっ通しで、階段を転げ落ちたり、喚いたりして圧巻。客席に突き出た部屋の角に、格闘技のリングのような柱があるのも、むべなるかな。
野田秀樹の女形ぶり&リズム感が圧倒的だけど、小劇場初という勘三郎さんのテンションも全然負けてません。激しいセリフの応酬で、野田秀樹がたまらず吹いてましたね。若い黒木さんもみずみずしい。

終盤、鎖に囚われて動きが静まってからは、自らが信じるものの歪みに追いつめられていく感じで、息苦しくなる。外の暑さ、前半の激しい動きもあって、勘三郎さんが訴える喉の渇きが、もの凄くリアル。ラストに差す光が、脱力するような希望を感じさせる。

爆笑の後に残るもの、そして創作のエネルギー、面白いものに挑戦し続ける姿勢に感服。ちらっと声で出演の笹野高史さんが、客席中央あたりで観てらっしゃいましたね。

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