あの頃の噺「真田小僧」「たらちね」「雑俳」「狸札」「狸鯉」「牛ほめ」
あの頃の噺~市馬・昇太・談春前座噺の会~ 2010年7月
梅田芸術劇場Presents、企画・春風亭昇太。夕方の新宿、全労済ホール・スペースゼロに駆け付ける。パイプ椅子風の座席が並ぶ会場で、若い人が多い。前の方右寄りで、噺家さんが首を振ると目が合う気がする席でした。3800円。
今をときめく3人が、あまり高座にかけなくなった前座向きの演目をあえてきかせる2年ぶりの企画。まず昇太さんが登場して、遅れて入ってきた人の方ばかり観ないでください、などと話し、最初は談春さんの「真田小僧」。母親の浮気をにおわせて父親から小遣いをせしめるワルガキを軽妙に。前座を思い出して羽織はなし、終わると自分で座布団を返し、めくりをめくります。次は市馬さん「たらちね」。漢学者に育てられた新妻の難しいばか丁寧言葉がでてくるけど、さすがに流ちょうだなあ。そして昇太さん「雑俳(ざっぱい)」。付け句遊びのことだそうで、ご隠居相手に八五郎が次々にナンセンスな狂歌をひねるだけ。「手手と手と手と」が下手な早口言葉のようでテンポ抜群。
続いて3人が登場し、立ったままフリートーク。前座話は筋らしい筋がないから難しいけど、若いころ覚えただけに師匠への愛があふれてる、とか。昇太さん自ら壇上のパソコンを操り、スクリーンでそれぞれの若き日の写真を披露し、思い出などを語る。談春さんは滅茶苦茶格好つけてるし、昇太さんは20代でも子供みたいだし、それに引き替え市馬さんはすでに名人の貫禄だし、もう大爆笑。
中入りを挟んで後半は昇太さんの「狸札」。助けてもらった子狸が恩返しに札に化けたけど、ぼろが出て…と可愛らしい。ところが談春さんが別バージョンの「狸鯉」で、狸の演技の巧いところをみせつける。意地が悪いなあ。トリは市馬さん「牛ほめ」。兄貴の新築の家を誉めに行った与太郎のとんちんかん話。ちょっと下品なところも上手。この3人の、これから10年を見ていけるのは、ものすごく楽しみだなあ、と妙な感慨に浸る。
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