ムサシ
ムサシ ロンドン・NYバージョン 2010年5月
井上ひさし作、蜷川幸雄演出。彩の国さいたま芸術劇場大ホール。2階前の方のS席1万500円。
2009年の再演で、ロンドンを経た凱旋公演。直前の4月9日に井上ひさしが亡くなったため、ホールには海外公演の劇評と並んで作者追悼のパネルなどが設置されていた。観客は若い人が多めかな。寺島しのぶさんや周防正行・草刈民代ご夫妻の姿も。
世に名高い舟島の決闘から6年後の1618年夏。鎌倉の小さな禅寺にひっそりと滞在する武蔵を、小次郎が見つけ出して再度果たし合いを申し込む。
やっぱり出色だったのは、武蔵の藤原竜也。受け身の抑えたポジションだったけど、期待通り立ち姿がすっくとしていて、色気があった。小次郎の勝地涼クンは出だし、ちょっと余裕がなかったかな~。屈折していて、難しい役どころだし(初演は観てないけど小栗旬)。でもラスト近くになっていい味だしてましたね。
内容は巌流島の後日談という、ちょっとずらした視点がいかにも井上さんらしい。前半は、いつもの大衆的な匂いのするドタバタ。言葉遊びやコミカルなアクションを、大物・柳生宗矩の吉田鋼太郎さんらが肩の力を抜いてこなしていて、いい感じ。後半は筆問屋主人の鈴木杏、材木問屋隠居の白石加代子を先導役に、一転して摩訶不思議な幻想世界になだれ込む。怨みの連鎖の愚かしさを訴えるメッセージが、けっこうストレートに伝わってきました。
装置は蜷川さんとしては大人しかったかもしれないけど、ざわめく竹林が美しい。能、座禅のシーンなど日本文化の香りも面白かったですね。
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