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文楽「新版歌祭文」「団子売」

文楽五月公演 第二部 2010年5月

国立劇場小劇場、1等席6500円。1Fほぼ中央で舞台を見づらいのが残念だった。客席は大学生らしき熱心な男性や、外国人も目立ち多彩。

「新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)」はまず有名な「野崎村の段」。文字久大夫、綱大夫、住大夫という豪華リレーでたっぷり2時間。ツレ三味線で龍爾さんもちょこっと参加してました。
人形も豪華キャストだ。なかでも蓑助さん。お染・久松の恋に翻弄される無邪気な娘おみつ役で、前半の焼き餅を焼く幼さがぴったり。この幼さがあるからこそ、後半、出家を決意をする悲劇が際立つんでしょう。お染は紋壽さん、久松が清十郎さん、おみつの父久作が玉女さん。
登場人物が多く、筋が複雑でちょっと苦労した。幕切れの堤を行く船と、土手の駕籠という絵柄が妙に明るくて不思議な感じ。途中、歌祭文「お夏清十郎」を引き合いに出してたけど、これは現在の浪曲のようなものだとか。もとは西鶴「好色五人女」(1686年)の1編で、浄瑠璃は初演が1780年だから 、当時すでに長く親しまれたエンタテインメントだったんですねえ。

エンタテインメントといえば、休憩をはさんで続く「油屋の段」では、「仮名手本忠臣蔵」の「山科閑居の段」のパロディが出てきて面白かった。いつものように朗々とした咲甫大夫さんと清志郎さん、切は安定感ある咲大夫さん、燕三さんで聴きやすかったです。
人形のほうは珍しく、勘十郎さんが小悪党の小助役で、のびのびとコミカル。盗んだ十両を飯椀のなかに隠すって、ありえません! 乱暴な「だは」の勘六(玉也さん)が、実は味方だったとわかるどんでん返し。
続いて「蔵場の段」は、役ごとに大夫さんがつく形式。上演は珍しいそうです。思い詰めたお染と久松が、蔵の内外ですれ違う演出がスリリングでした。

10分の休憩後、楽しい「団子売」。杵蔵に幸助さん、お臼に一輔さん。幸助さんはいっとき襷が腕に引っかかってたけど、事なきを得ましたね。大夫は南都大夫、咲甫大夫ほか5人、三味線も清志郎さんを筆頭に寛太郎さんら5人と賑やか。餅つきを男女の仲に例えた軽妙な舞踊で、めでたい感じが伝わってきました。

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