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大歌舞伎「寺子屋」「三人吉三巴白浪」「藤娘」「実録先代萩」「助六由縁江戸桜」

歌舞伎座さよなら公演 御名残四月大歌舞伎 2010年4月

いよいよ歌舞伎座が休場前の大詰めとなり、思い切って第二部、第三部を続けて観た。午後3時の開演より早めに劇場に行くと、すでに記念撮影の人波。開幕前には客席でも、今月ばかりはカメラを構える人が多い。

まずは先月の歌舞伎座で予習ばっちりの菅原伝授から、「寺子屋」。武部源蔵の仁左衛門さんが、さすがにきめ細やかな演技で、勘三郎さんが意外な戸浪を演じて切迫感を出していた。有名な子ども役の涎くり与太郎は高麗蔵さん。コミカルさは抑えめで、芸達者な印象。千代の玉三郎さんは白装束になるあたり、上品で目を奪われる。後半の見せ場、首実検で幸四郎さんの松王丸に善人さが先に立つのは、この人らしいのかも。

がらっと派手になって「三人吉三巴白浪」の「大川端」。節分の夜更けという設定なんですね。やくざなお嬢吉三の菊五郎さんが、七五調で啖呵を切り、お坊吉三の吉右衛門さんが色気たっぷりに掛け合う。そして、おもむろに仲裁に入る和尚吉三はちょっと陰りを漂わせた団十郎さん。重みがあるなあ。

二部の締めくくりは人間国宝、藤十郎さんの舞踊「藤娘」。花いっぱいの明るい舞台に長唄囃子連中を従え、あくまで可憐に恋心を踊る。舞台上で松の大木に隠れての衣装替えが何度もあり、とても80歳とは思えませんでした。

1時間の休憩中に館内で食事をし、6時20分から第三部。まずは渋く「実録先代萩」。気丈な乳人浅岡で大御所、中村芝翫さんが風格を見せる。忠臣・松前鉄之助に橋之助さん、家老・片倉小十郎に幸四郎さんという贅沢な配役が脇を支えます。さすがに全体に動きが少なかったけれど、藩主・亀千代役の千之助、浅岡の実子・千代松役で実際に孫にあたる宜生という二人の子役が、ほとんど出ずっぱりで健気に演じ、可愛かった。

最後にお待ちかね「助六由縁江戸桜」。まず海老蔵の若々しい口上があって、御簾の向こうの河東節十寸見会御連中を紹介します。成田屋の家の芸、歌舞伎十八番という格別さが盛り上がる。
内容はとにかく圧倒されっぱなし。まずは女帝・玉三郎さんの揚巻の、ド派手な衣装。最後には全身七夕になってましたよ。悪態も格好いいし。髭の意休の左団次さん、白玉の福助さんが脇を締めます。
そして何と言っても、無頼なヒーロー団十郎さんの助六です。登場していきなり、花道で傘をかついで延々と見得を切ります。長い長い。セリフ回しもゆったり大らかで、とにかくスケールがでかい。福山かつぎ寿吉の三津五郎さんはいなせで、くわんぺら門兵衛の仁左衛門さんはほどよくコミカル。
中盤は助六(曽我五郎)の兄、白酒売(曽我十郎)役で菊五郎さんが登場し、ぐっとくだけて巧さに拍車がかかる。重宝・友切丸を探すため、助六と一緒になって通行人に次々喧嘩を売るシーンで、通人里暁の勘三郎さんがお二人の家族のことを話題にしたり、歌舞伎座閉場を惜しんだりして、大拍手。おいしいところを持っていきますね~。母・曽我満江で東蔵さんも現れ、華やかに幕となりました。
いやー、なんと痛快な現実離れなんでしょう。ここまで理屈を超越した演目が、2010年の現代に説得力をもって存在していること自体、信じられない気さえして、堪能しました。歌舞伎恐るべし。果たして三年後の新歌舞伎座では、どういう顔ぶれが何をどう演じるのか。それもまた、楽しみです。

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