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文楽「祇園祭礼信仰記」「碁太平記白石噺」「連獅子」

文楽五月公演 第1部 2010年5月

前日に続いて文楽観劇。国立劇場小劇場で1等席6500円。今日は少し右寄りで観やすい席でした。

まず秀吉出世談の時代物「祇園祭礼信仰記」が1時間半。金閣寺が舞台だけに、仕掛けが派手で変化に富んでいる。三味線は清治さん、寛治さんの人間国宝リレーだ。
「金閣寺の段」は呂勢大夫さん。こういう大時代な感じ、いいんじゃないでしょうか。「碁立て」と呼ばれるシーンだそうで、玉也さんの松永大膳と、乗り込んできた玉女さんの此下東吉が、囲碁をうちながらハラを探り合う緊迫した場面や、東吉が知恵を働かせ、井戸に滝の水を流し込んで、投げ込まれた碁笥を浮かせてとる趣向が面白い。大膳は大物で、敵にしては格好良いけど、あからさまに囚われの身の雪姫に迫ったりして、けっこう身も蓋もない奴だなあ。

「爪先鼠の段」は津駒大夫さん、文字久大夫さん。人形は勘十郎さんが初役で遣う雪姫の見せ場だ。個人的にはこれで八重垣姫、時姫の「三姫」をすべて観たことになる。まず大膳が宝刀を滝にかざし、龍の姿を浮かび上がらせる超常現象の前触れがある。その後、宝刀を取り返そうとして桜の木に縛られてしまったけなげな雪姫が、足で花びらを集めて鼠を描くと、本物(小さな人形)に変じて綱を切ってくれる! 雪姫の祖父・雪舟の故事にちなんでいるそうだ。
東吉が人質を救うべく、金閣を登るシーンではなんと三層の大ゼリが登場。狼煙をたいたり、竹をしならせて階上から飛び降りたり、人形ならではのスペクタクルの連続で楽しい。東吉は武芸というより上方好みの知略の人だったり、敵方の武士が実は東吉配下の加藤清正だったり、お約束の人物設定も面白かったです。

休憩中に食堂で手早くランチを済ませ、続いて「碁太平記白石噺」を1時間半。豪商・三井次郎右衛門、大工の棟梁で落語中興の祖・立川焉馬(えんば)ら通人の合作だそうで、廓を舞台に遊びが多い筋書き。こちらも変化に富んでいる。
「浅草雷門の段」は始大夫さん、千歳大夫さんで、田舎から出てきた少女おのぶの素っ頓狂な奥州訛りなどが軽妙。ストーリーは大道芸人のどじょうが活躍するチャリ場です。どじょうは幕開けでまず手品を演じ、花を客席に投げて大サービス。後半には、おのぶを売り飛ばした悪い金貸しの観九郎から、地蔵に化けて言葉たくみに五十両をだまし取り、痛快だ。
途中で地震があるハプニング。客席にいてもグラッと感じたけれど、千歳さん少しも騒がず、続けてました。後できいたら震度3。さすがですねえ。人形は全員、頭巾をかぶって遣ってました。

続く「新吉原揚屋の段」は嶋大夫さんが熱演! 場面は花魁・宮城野のいわば控え室で、箪笥など細々した調度、装飾や、三代敵討ちの「曽我物語」の本を愛読しているところが、若者風俗ぽくて興味深い。和生さんが宮城野、文雀さんが純朴なおのぶを遣い、師弟で姉妹の情を演じる。父の敵を討つため廓を抜け出そうとする姉妹を、曽我物語を引用して諭す主人の惣六(文司さん)がやけに格好良かった。

短い休憩を挟んで最後は「連獅子」。能の石橋を元にした舞踏で、大夫が英大夫さんら4人、三味線が龍爾さん、寛太郎さんら5人。人形が最初は中国風の装束で登場。子獅子の遣い手三人が、一緒に崖を飛び降りるシーンに息を呑む。終盤はお馴染みの髪を振り立てる振付「クルイ」があり、めでたく幕となりました。面白かったです!

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