文楽「近江源氏先陣館」「伊達娘恋緋鹿子」
第169回文楽公演 09年12月
ちょっと久々の感じがする文楽。国立劇場小劇場で、やや後方15列。5700円。
12月ですので中堅・若手中心で、パンフレットも顔写真無しの簡略版です。演目はまず「近江源氏先陣館」。事前に解説を伺う。大坂冬の陣を鎌倉時代に移しており、文楽は大阪のものだから豊臣びいきである、という説明に納得。敵味方に分かれた真田兄弟の自己犠牲がテーマ。相変わらず理不尽だなあ。
導入部の「坂本城外の段」で可愛らしい小三郎が従兄の小四郎を捉える。「和田兵衛上使の段」は明朗に咲甫大夫さん。敵方とはいえ孫である小四郎の悲運を嘆く老母、微妙(みみょう)を遣う吉田和生さんが繊細だ。そしてクライマックス「盛綱陣屋の段」は前半が千歳大夫さん、後半が文字久大夫さん。千歳さんの熱気も控えめで、安定していたんじゃないでしょうか。兄を案じる複雑な心境の盛綱、桐竹勘十郎さんはもちろんですが、和田兵衛の吉田玉女さんが格好良かった~ 大団七という、目がぎょろっとした首(かしら)だけど、腹がすわっていて潔いんだよね。
休憩25分をはさんで「伊達娘恋緋鹿子」。9月に歌舞伎で、福助さんの「人形ぶり」を観ていたので、今回は本物の人形がどう演じるのか、楽しみにしていた。「八百屋内の段」は呂勢大夫さん。豊松清十郎さんのお七は幼くて可愛らしい。そしていよいよ雪が降りしきる「火の見櫓の段」。なんと、ひらりと梯子の後ろに回って遣うのでした。櫓がすごく高いのが文楽ならでは。面白かったです!
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