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十二人の怒れる男

十二人の怒れる男 09年11月

Bunkamura20周年記念企画、シアターコクーン・オンレパートリー2009。レジナルド・ローズ作、額田やえ子翻訳、蜷川幸雄演出。S席椅子で9000円。

1957年のヘンリー・フォンダ、シドニー・ルメットの映画で予習。あまりに有名なお話だし、これを超えるものはないと思っていたけれど、見事にやられました。

展開はほとんど映画版どおりだったと思う。陪審員室の長テーブルを客席が取り囲むシンプルな舞台。俳優陣が客席中ほどから入ってきて、休憩を挟んで約3時間、ずっと舞台上にいてリアルタイムで議論をぶつけ合う。みな、さすがの安定感で、なにしろヘンリー・フォンダ役が中井貴一さんだ。私なんかすぐ説得されそう。哀愁漂う品川徹、理知的な辻萬長、愛すべき岡田正…。気弱な柳憂怜さんも案外よかった。

そして何と言っても西岡徳馬さんが格好よかった! 「12人の…」って話し合いというコストをかけて、登場人物がそれぞれの偏見を乗り越え、民主主義を守るお話だと思ってた。裁判員制度導入の年ってこともあるし。ところが西岡さんの存在感で、終盤はむしろ親子の相克のほうがすごく胸に迫ってきて、不意をつかれました。これが生身の舞台の力というものか。シンプルだけど、よかったです。

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