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Mr.Children DOME TOUR2009

Mr.Children DOME TOUR2009「Supermarket Fantasy」 09年12月

クリスマスイルミネーションとコースターの悲鳴が非日常感をめいっぱい盛り上げる東京ドーム。定刻直前に滑り込んだが、お客さんが入り口で大行列。なにしろ4万7000人だもの。席は絶壁のような2階の上の方。でも聴衆はみな熱心です。

とにかく桜井さんのピュアさ、永遠の少年ぶり。これに尽きる! MCは控えめで、ひとりで2時間歌い続け、広いドームいっぱいを切なくさせちゃう、この存在感は凄い。曲の良さと、かすれ気味のボーカルの説得力。やっぱり今、バンドとしては最高峰かなあ。
ギターサウンドというより、小林武史のキーボードが中心という印象だ。あとのサポートはコーラスのナオト・インティライミだけというシンプルな編成だけど、バックの映像とシンセがシンクロした演出は練られ抜かれた感じ。桜井さんはよく走り、よく服を着替えてましたね。「Monster」ではフードをかぶったりして。

中盤はアリーナなかほどの小ステージに移動するけど、聴衆に対して「出てきましたよ」という押しつけがましさがなくて、温かい接し方だ。そして、めいっぱい格好良い「fanfare」からは疾走感たっぷり。スケールも大きい。
アンコール3曲でWOWOWの生中継が終了。そのあと、会場に足を運んだ聴衆のために、クリスマスバージョンで1曲。嬉しいプレゼントでした! セットリストは以下の通り。

1.声~ラヴコネクション
2.Dance Dance Dance
3.Worlds end
4.HANABI
5.ロードムービー
6.風と星とメビウスの輪
7.ALIVE
8.LOVEはじめました
9.Monster
10.ニシエヒガシエ
11.CANDY
12.Simple(小林武史バースディパーティVer)
13.Drawing
14.彩り
15.fanfare
16.箒星
17.名もなき詩
18.エソラ
19.声
20.終わりなき旅

ENC
21.365日
22.and I love you
23.GIFT
24.抱きしめたい(クリスマスVer)

 【ネタバレ有】12/24 Mr.Children DOME TOUR in 東京ドーム レナコの”旅行記”と”ライブ・コンサート情報”のブログ

マレーヒルの幻影

マレーヒルの幻影 09年12月

作・演出岩松了。本多劇場でG列中央。

舞台は経済崩壊の予感が日々、色濃くなる1929年ニューヨーク。「グレート・ギャツビー」を下敷きにした、日本人実業家ソトオカを巡る愛憎劇です。

現代につながる社会背景を強く意識させながら、緊迫したやりとりで人生の「どうにもならなさ」を描く。メロドラマという枠組みを使っているのだけれど、シビアで普遍的なものを感じる。英語の台詞が挟まるせいで、いつにもまして難しかったけど… でも、あとから戯曲本で確認しちゃったから大丈夫。

シンプルな舞台と、レトロな衣装がお洒落だ。クロンカイトやカポーティも住んだというニューヨークの高級住宅街マレーヒルの邸宅や、人生の始まりと終わりを象徴するような墓地のシーンを、舞台横幅いっぱいの鉄の扉で表していた。パンフの表紙もモノトーンの市松模様で、どことなく雰囲気を統一。こういう全体に漂う上品な雰囲気って、岩松さんの舞台独特のものだと思う。

俳優陣ではまず、ヒロインの麻生久美子がよかった~。個人的には意外だったのだけど、声が低くて説得力があるんだよね。市川実和子さんも姿が良いし、はすっぱな役なのに下品でない。そして松重豊さん。1幕ラストのどんでん返しを担う重要な役どころで、嫌らしくて切なくて、台詞を話していなくてもちゃんと存在感がある。こういうキャスティングの妙も、作家の力のうちなのでしょう。

なんというか、いつものように内容の濃い舞台でした。終演後、楽屋に光石研さんがいらしてました…

文楽「近江源氏先陣館」「伊達娘恋緋鹿子」

第169回文楽公演 09年12月

ちょっと久々の感じがする文楽。国立劇場小劇場で、やや後方15列。5700円。

12月ですので中堅・若手中心で、パンフレットも顔写真無しの簡略版です。演目はまず「近江源氏先陣館」。事前に解説を伺う。大坂冬の陣を鎌倉時代に移しており、文楽は大阪のものだから豊臣びいきである、という説明に納得。敵味方に分かれた真田兄弟の自己犠牲がテーマ。相変わらず理不尽だなあ。
導入部の「坂本城外の段」で可愛らしい小三郎が従兄の小四郎を捉える。「和田兵衛上使の段」は明朗に咲甫大夫さん。敵方とはいえ孫である小四郎の悲運を嘆く老母、微妙(みみょう)を遣う吉田和生さんが繊細だ。そしてクライマックス「盛綱陣屋の段」は前半が千歳大夫さん、後半が文字久大夫さん。千歳さんの熱気も控えめで、安定していたんじゃないでしょうか。兄を案じる複雑な心境の盛綱、桐竹勘十郎さんはもちろんですが、和田兵衛の吉田玉女さんが格好良かった~ 大団七という、目がぎょろっとした首(かしら)だけど、腹がすわっていて潔いんだよね。

休憩25分をはさんで「伊達娘恋緋鹿子」。9月に歌舞伎で、福助さんの「人形ぶり」を観ていたので、今回は本物の人形がどう演じるのか、楽しみにしていた。「八百屋内の段」は呂勢大夫さん。豊松清十郎さんのお七は幼くて可愛らしい。そしていよいよ雪が降りしきる「火の見櫓の段」。なんと、ひらりと梯子の後ろに回って遣うのでした。櫓がすごく高いのが文楽ならでは。面白かったです!

十二人の怒れる男

十二人の怒れる男 09年11月

Bunkamura20周年記念企画、シアターコクーン・オンレパートリー2009。レジナルド・ローズ作、額田やえ子翻訳、蜷川幸雄演出。S席椅子で9000円。

1957年のヘンリー・フォンダ、シドニー・ルメットの映画で予習。あまりに有名なお話だし、これを超えるものはないと思っていたけれど、見事にやられました。

展開はほとんど映画版どおりだったと思う。陪審員室の長テーブルを客席が取り囲むシンプルな舞台。俳優陣が客席中ほどから入ってきて、休憩を挟んで約3時間、ずっと舞台上にいてリアルタイムで議論をぶつけ合う。みな、さすがの安定感で、なにしろヘンリー・フォンダ役が中井貴一さんだ。私なんかすぐ説得されそう。哀愁漂う品川徹、理知的な辻萬長、愛すべき岡田正…。気弱な柳憂怜さんも案外よかった。

そして何と言っても西岡徳馬さんが格好よかった! 「12人の…」って話し合いというコストをかけて、登場人物がそれぞれの偏見を乗り越え、民主主義を守るお話だと思ってた。裁判員制度導入の年ってこともあるし。ところが西岡さんの存在感で、終盤はむしろ親子の相克のほうがすごく胸に迫ってきて、不意をつかれました。これが生身の舞台の力というものか。シンプルだけど、よかったです。

十二人の怒れる男 わたきょんの観劇(感激)日記
Bunkamura20周年企画「十二人の怒れる男」 yumiking Diary
十二人の怒れる男 BOSSの備忘録

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