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ドン・カルロ

ミラノスカラ座「ドン・カルロ」 09年9月

東京文化会館、1階左のA席5万2000円。シュテファン・ブラウンシュヴァイク演出の4幕イタリア語版を、2回の休憩を挟んで4時間半で。ダニエレ・ガッティ指揮。

いやー、楽しかったです。ホールがいいこともあり、印象的なホルンで始まる前奏曲から、ピットぎっしりのオケを堪能。席が横方向だったので、ガッティが合唱と一緒に歌ったりする情熱ぶりも丸見えだ。

歌手陣は高音、低音とも、それぞれに美しいアリアがあり、聞きどころが満載。タイトロールのスチュアート・ニールと、ひたすら格好よくて得な役回りの親友ロドリーゴ役ダリボール・イェニスは、ちょっと線が細いかもしれないけど、のびのびとして安心感がある。特に全編でモチーフが繰り返される第1幕の二重唱「主よ、われらの魂に」が爽快だ。
孤独で屈折した父、フィリッポ二世がキャストの交代でルネ・パーペになったのは、つくづくラッキーでした。座ったまま歌う第3幕の「彼女は私を愛したことがない」の苦悩ぶり、切なさたるや、バスだけど威風堂々というだけではなく、陰影が豊か。気性が激しいエボリ公女の、アンナ・スミルノヴァが聞かせる、メゾとは思えない高音を含めた超絶技巧もさすがだ。
そして何と言っても、お楽しみエリザベッタのバルバラ・フリットリ。昨年の「コシ」と比べると、色気少なめの抑制した役どころなので、前半は意外に目立たなかったけれど、舞台に現れただけで存在感がある。そして第4幕になると独壇場で、「世のむなしさを知る神よ」の追憶と諦念が圧巻!

ストーリーは、素人にとってはけっこう複雑。新旧の価値観の対立とか、権力の誤謬とか。幕切れの悲劇など、あれ、どうしてこうなるの、という感じもしたけれど、1867年初演とは思えない現代的なニュアンスを含んでいて見応えがある。
そのストーリーを今回の演出では、衣装は16世紀スペイン、舞台装置は無機質なモノトーンを軸に深い森の背景や、紗幕を効果的に使って、お洒落に表現していた。奥行きがあって美しい舞台。主要登場人物3人 の影の存在として、ものを言わない子役3人が登場し、宙づりにされたりして大活躍。私としては映像的で、なかなか楽しめた。カーテンコールでも拍手を浴びてましたね。

ミラノ・スカラ座の来日公演「ドン・カルロ」@東京文化会館(9/8)  ETUDE 

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