« 歌舞伎「彦山権現誓助剣」「廓文章」「曾根崎心中」 | トップページ | その男 »

ワルキューレ

ワルキューレ 2009年4月

新国立劇場オペラハウス。S席1階の左端でかなりいい席。トーキョー・リング4部作の二日目は、なんと45分、35分の休憩をはさみ、3幕でほぼ5時間半の超長丁場。でも大迫力で、飽きさせない舞台でした。

「ラインの黄金」に続いてキース・ウォーナー演出。指揮のダン・エッティンガーは伸び上がって歌手に指示したり、忙しい。東京フィルは例によってピットにぎっしりだ。分厚い音の固まりを満喫。

ジークリンデとジークムントが一瞬にして禁断の恋に落ちる1幕は、巨大なテーブルと椅子が部屋を満たし、大小のバランス感覚が崩れるところが面白い。ジークリンデのマルティーナ・セラフィンが、深い声で圧倒的。ジークムントのエンドリック・ヴォトリッヒは声量がいまいちだけれど、そこが繊細で、個人的には悪くなかったな。トネリコの樹を表す赤い矢印はともかく、恋の訪れによって小さい緑の矢印が床から生えてきたのには、びっくり。

2幕は支配欲にとりつかれたヴォータンと、愛の救済を求めるブリュンヒルデとの父娘の葛藤。延々と語るヴォータンのユッカ・ラジライネンが、「ラインの黄金」のときより堂々とした印象で、拍手。ブリュンヒルデのユディット・ネーメットも安定していた。傾斜した床が不安感をかきたて、おもちゃの木馬や映写機など、思わせぶりの小道具もたっぷり。照明は歌手にスポットをあてたり、わざと影を作ったりしていて、うまい。後半、また天井から出現した矢印が登場人物を指し示す動きが面白く、活劇風でメリハリがあった。

そしてやっぱり、見どころは3幕! 「ワルキューレの騎行」からはじまって、著名な旋律が惹起する興奮と感動に身を任せ続ける感じ。特にジークフリートの誕生の示唆が感動的。
演出では、病院の廊下のような白い空間に、赤い非常灯が鮮やかで、騒々しいワルキューレたちの右往左往や、ヴォータンが怒りにまかせてストレッチャーを滑らす動きなどが、緊張感を盛り上げる。装置が大転換して、白い廊下がありえないほど遠のき、巨大な木馬が現れると、父娘が別れる怒濤のクライマックス。いったん幕が下りて炎をかたどった文字が流れ、再び開くと、最後に本物の火がベッドを取り囲む。このシーンは、知っていてものけぞりましたね。

それにしても、ヴォータンが権力を求めつつ、結局挫折していくところが皮肉だなあ。歓声も多く、満足の舞台でした。(2009・4)

 新国立劇場「ワルキューレ」(1回目) ~ 練り上げた照明演出が効果満点  ペラゴロのオペラ日記

« 歌舞伎「彦山権現誓助剣」「廓文章」「曾根崎心中」 | トップページ | その男 »

オペラ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ワルキューレ:

« 歌舞伎「彦山権現誓助剣」「廓文章」「曾根崎心中」 | トップページ | その男 »