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顔見世「傾城反魂香」「大石最後の一日」「信濃路紅葉鬼揃」

當る丑歳吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎 08年12月

京都・南座。2階の4列。1等2万5000円。

顔見世というものを観てみたくて、やっと手に入ったチケットを握り、なんと京都まで行っちゃいました。「まねき」があがった南座の様子には、やっぱり浮き浮き。席はかなり狭いけれど、ロビーにご贔屓からの「竹馬」がずらりと並んで、それらしい雰囲気を味わう。

夜の部は、まず4時15分から5時40分まで「傾城反魂香」。冒頭ちょっと眠かったけど、中村翫雀の又平はいかにも上方喜劇という印象。前半の名字へのこだわりや死の覚悟を示すところ、後半の、絵の奇跡が認められて浮き浮きするコミカルなところまで、すべてがネッチリしている。それに比べると、坂田藤十郎の女房おとくは案外控えめだった。親子で夫婦役というのも歌舞伎ならではですねえ。

30分の幕間の後、「大石最後の一日」を7時半まで。うって変わって、犠牲と初志貫徹の、理屈が先に立つセリフ劇。中村吉右衛門の大石が、腹のさぐり合いというか、重厚ですべてお見通しという感じの人物像をたっぷり見せる。純粋な磯貝とおみのの秘めた恋に、客席は本気ですすり泣き。

15分の幕間があって、「信濃路紅葉鬼揃」。昨年初演したという舞踏劇。松羽目に紅葉をちらした背景、正面に長唄、三味線、太鼓、笛が並び、右下の「床」に浄瑠璃と三味線がいて掛け合うという、何でもありの面白い構成だ。
役者も能装束に、面のような無表情で登場する。鬼女、玉三郎と侍女たちのきらびやかな衣装、微妙にリズミカルな踊りが美しくて、まず目を奪われる。伴奏が浄瑠璃に替わり、平惟茂の海老蔵が花道を歩いてくると、客席の雰囲気が一変して、女性が皆、身を乗り出す感じ。さすがスター! お酒を勧められて寝こけてしまうところが初々しい。
鬼女が一時いなくなる間、花道のスッポンから片岡仁左衛門の山神が太刀を持って駆けつけ、ひとしきり踊って退場。このあたりから歌舞伎らしい、きびきびした動きになってくる。そしていよいよ再登場した鬼たちが、恐ろしい隈取りで正体を現し、連獅子のように髪を振り回して、一同大拍手。笛や太鼓が激しく鳴り響き、最後はまるで絵画のように、玉三郎が口を開けてポーズを決めて幕となる。これは相当盛り上がりました。

ここであと1演目残し、残念ながら新幹線で帰京。それでも役者が揃い、演目にも変化があって、サービス満点の舞台でしたね。満足。

京都南座の顔見世 その3  おとらのブログ
狩衣 きままに写楽

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