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文楽「源平布引滝」

第165回 文楽公演 08年12月

国立劇場小劇場。15列。5700円。

12月は中堅若手が出演とのことで、プログラムに顔写真入りの紹介がなく、ちょっと驚いた。大夫さんも、前半はちょっと初々しい印象。鑑賞3回目の私がいうことじゃありませんが。

演目は「源平布引滝」。午後2時スタートで休憩をはさみつつ、6時まで一つの演目。たぶん観客は「源平盛衰記」とか「平家物語」を知っている、という前提で伏線を張っており、人間関係も複雑なので、たっぷり観た、という感じがする。
内容は木曽義仲の誕生秘話。平治の乱に破れて源氏が劣勢になっている時期に、象徴である白旗を守るべく、腕を切り落とすとか、首を落とすとか、壮絶で血なまぐさい場面が展開します。人形だから綺麗なのだけど、なかなかどうして、手に力が入る。

まず昭和45年以来の再演という2段目「義賢館」。桐竹勘十郎さんの義賢が、すごく二枚目です。出だしは療養中を装う地味な外見で、横暴な平氏の使者の言動にぐっと耐えている。それでも怒りがわきあがり、結局大暴れ。吉田幸助さんの進野次郎宗政が背後に迫ったところを、なんと我が身もろとも刀で突き刺しちゃう。長身の幸助さん、よく勘十郎さんの左を遣っているとかで、呼吸がいいのかも。それから妻子を逃がし、自分は階段上でばったり倒れる、というスピード感ある展開。いやー、盛り上がります。

続く「矢橋の段」「竹生島遊覧の段」は琵琶湖の湖畔と、船の上という、美しく解放感があるシーン。小まんが白旗を守って、追っ手を次々投げ飛ばす大活躍で、観客も大喜び。行綱の妻とはいえ、百姓の娘なのに随分頑張るなあ、とちょっと疑問なのだけど、この後、出生の秘密が明かされて納得するのでした。

最後に「九郎助内の段」。吉田玉女さんの斎藤実盛が、平氏方だけど源氏にシンパシーを持っていて、義仲親子を守るという、複雑で胆力のある役で格好いい。特に最後の颯爽と馬にまたがるあたり。若い吉田蓑紫郎さんの太郎吉が真似をして、綿繰り道具にまたがる図柄も微笑ましい。この段では入れ替わり立ち替わり4人の大夫さんが登場。最後のお二人のうち、竹本千歳大夫さんはいつものように熱演。豊竹咲甫大夫さんが、声が通って気持ちよかったです。
いやー、楽しみました。

源平布引滝 ~色っぽいぜ義賢~ 観劇値千金

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コメント

ご紹介(何といったらいいのでしょう・・)ありがとうございます。
いくつか、読ませていただきました。
義賢の桐竹勘十郎さんには、しびれました。
はまりやすい性格なので、もうこれ以上好きなものが増えないで!?と思いつつ、こわごわ文楽をみております。駆け出しものです。
背後の進野次郎宗政を、我が身もろとも刀で突き刺す場面、すごかったですね。
左を遣っている人との呼吸のよさとか、そういうことも おいおいわかる日がくるかと楽しみです。
また、読みにお邪魔させていただきます。

マイチィ☆さん、今後ともよろしくお願いします。
今の憧れは大阪文楽デビューです…

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